No.193 白内障 (Cataract)

多くの哺乳類にはヒトと同様に白内障が発症します。眼の中の水晶体というところの、一部もしくは全部が白濁する病気です。進行すれば視力は低下し、最後には失明する病気です。

白内障の発症の詳しいメカニズムは分かっておりません。原因としては、先天性に発症する先天性白内障、他の病因で発生する後天性白内障に分類されます。先天性のものは主に遺伝が関与していて、アメリカン・コッカー・スパニエル、プードル、ビーグル、柴犬などに若齢から白内障がみられる場合があります。後天性の白内障には、老年性の変化(8歳くらいからみられる場合もあります)の他、糖尿病などの代謝性の変化によるもの、外傷性、中毒性、進行性網膜萎縮などの網膜の疾患によるものがあります。

臨床的には、水晶体の混濁程度により「初発期白内障」「未熟期白内障」「成熟期白内障」「過熟期白内障」に分類され、初発期白内障では視力はさほど障害されませんが、未成熟白内障以上の白内障では視力がかなり障害されてきます。

治療法には「内科療法」と「外科的療法」があります。内科療法(点眼薬)は白内障の初期には進行を遅らせることができますが効果は限定的です。視力が障害されている白内障には、一般的な白内障用の点眼薬では視力を回復させることはできません。未熟期白内障以上は外科手術が推奨されます。視力が障害された目の水晶体を摘出し、眼内レンズを挿入します。ヒトの場合は日帰り手術が受けられ、保険も効くので、比較的早期に手術が行われますが、高齢の動物の場合、「もう年だから」で済まされることが多くみられます。現在では、犬や猫の白内障の手術は成功率も高く、広く行われるようになってきています。

犬の過熟期白内障


No.192 ペットフード

ペットフードは便利ですが、管理には注意が必要です。ドライフードでよくあるトラブルは、大きすぎる容量のフードを使ってしまうことです。例えば2kgのチワワちゃんに3kgのドライフードを購入して使うと1ヶ月以上食べることができます。しかし、賞味期限内であっても、開封したドライフードは少しずつ酸化し劣化していきます。また、湿気で風味や触感も落ちるので、味も落ちて動物たちも喜ばなくなります。このような悪くなったドライフードを食べるとお腹を壊すことになり、食中毒様の症状、嘔吐や下痢が起こり、酷い時には血便になったりします。ドライフードは開封したら、出来れば1週間、遅くとも10日間くらいでなくなる分量の大きさを購入して下さい。

また、ウェットフードは開封したら、なるべくその日のうちに使い切るのが理想です。どうしても残ってしまう場合には、タッパーウェアの様なものに移して必ず冷蔵庫に保存し、遅くとも2~3日以内に使って下さい。また、とくに猫ちゃんはドライフードだけだと水分不足になって、腎臓に負担がかかります。ウェットフードの使用がおすすめです。高齢動物も喉が渇いたというセンサーが鈍感になっています。十分な水分を取るためにも、ドライフードをふやかすとか、ウェットフードを併用するなどの工夫が必要です。

また、値段が高ければ良いフードということではありませんが、あまり安いものは注意が必要です。

一昔前までは、ペットフードはずっと同じものを食べた方が良いという考え方が主流でしたが、現在では、病気などで療法食を使っている場合を除き、いろいろなフードを使った方がアレルギー体質になりにくく、動物もフードの選り好みをしなくなるというメリットが考えられています。とくに猫ちゃんはフードの選り好みが起こることが多いので、若いころから、いろいろな味に慣れさせると良いでしょう。

また、フードの切り替えも、半分半分くらいから徐々に1週間くらいかけてという説明がされてきましたが、現在では、いきなり変えても大丈夫といわれています。いきなり変えるのが心配な場合は、以下の方法が良いでしょう。

1. 最初の2日は従来のフード7割に新しいフード3割を混ぜて与える
2. 問題がなければ次の2日で、半々ずつ混ぜて与える
3. さらに次の2日は、従来のフード3割、新しいフード7割にする
4. ここまでで大丈夫なら、完全に新しいフードに切り替える


No.191 嘔吐の色

犬や猫が嘔吐をしたときに、色を見るのは重要です。問題を突き止める手がかりになります。

透明な嘔吐:透明な嘔吐は胃酸がそのまま出ています。胃酸は消化に重要です。また、胃酸は酸性で酸っぱい臭いがします。犬の胃のpHは、空腹時2以下、2時間後4-6、5時間後6以上といわれています。胃内に食事が残っていてもpHは下がっている時があります。ドライフードは6-14時間で胃からなくなります。透明な嘔吐は、異物や、胃炎による胃の不快感、胃酸分泌過多などの胃のトラブルを考えます。
白い嘔吐:白い嘔吐は唾液が混ざっています。気持ちが悪くて唾液が増えた場合や、口腔内の疾患、食道の疾患などを考えます。胃液に唾液が混ざっても白い嘔吐になります。
黄色い嘔吐:十二指腸液が混ざっています。十二指腸液には胆汁が混ざっていて黄色く見えます。十二指腸液はアルカリ性で胃酸は中和されます。十二指腸の疾患の他、肝臓・胆嚢疾患、膵臓の疾患を考えます。
赤い嘔吐:口腔内、食道、胃などの上部の消化管からの出血を示唆します。歯周病や、上部消化管内の異物、炎症、潰瘍、腫瘍などを考えます。
黒い嘔吐:小腸からの出血、炎症、異物、潰瘍、腫瘍やDIC(→No144 播種性血管内凝固症候群)を考えます。

よく犬や猫は吐くと考えられていますが、本来は吐くのは異常なことです。吐くのを放っておくと、食道炎(→No190食道炎)や膵炎(→No189膵炎)になることがあります。目安は月に1~2回程度の嘔吐で、嘔吐後にケロッとしていれば、様子を見るのも1つの方法だと思いますが、嘔吐後にぐったりしたり、頻回の嘔吐だったり、週に2回も3回も嘔吐したり、嘔吐の回数が増えてくるようであれば、早急にきちんとした検査が必要です。フェレットはおおむね犬や猫の考え方と一緒で良いですが、ウサギやチンチラ、ハムスターなどのげっ歯類の嘔吐は深刻な状態が多いです。


No.190 食道炎(Reflux esophagitis)

最近多い疾患の1つは食道炎です。食道炎も重症化すると治療が困難な疾患の1つです。最も多いパターンは、胃食道逆流(GER)によって胃酸が食道に上り胃食道逆流症(GERD)が起こり、胃酸に耐えられない食道粘膜に炎症が生じます。炎症が粘膜を超えて粘膜下組織や筋層まで破壊してしまうと、その部位を修復しようと食道組織の線維化が進み、食道の内径が狭窄してきたり拡張してきたりする場合があります。この状態を食道狭窄症、食道拡張症と呼びます。誤嚥性肺炎を併発する場合もあります。
食道炎の症状は、首を触ると嫌がる、流涎、食後すぐの嘔吐、食べるのが遅くなった、食べるときに痛がるなどがあります。

原因は、胃酸の逆流の他に、異物の誤飲・誤食、喉頭炎・咽頭炎の波及、感染、全身麻酔(統計でGER16-55%、GERD2.7%と高い数字が出ています。若齢動物で多いといわれています)などがあります。

内科的治療は、粘膜保護剤のスクラルファート(アルサルミン)、胃酸分泌を抑えるH2ブロッカー(ファモチジン)、プロトンポンプ阻害薬(オメプラゾール)、制吐剤のメトクロプラミド(プリンペラン)、オンダンセトロン(サンド)、マロピタント(セレニア)、消化管の運動促進を促すモサプリド(プロナミド)などを使用し、食道炎に伴う痛みや胸やけなどを和らげます。
食道狭窄の状態になってしまった場合は、内視鏡を用いたバルーン拡張術を行います。食道拡張になってしまうと治療は大変です。上記の薬に加え、食事の後に立たせる、水の器を高い所に置いて誤嚥を防ぐなどの処置が生涯に渡って必要です。


No.189 膵炎(Pancreatitis)

膵臓は胃と十二指腸のとなりにくっついている臓器で、消化酵素やホルモンを分泌しています。この膵臓に炎症が起こることを膵炎と呼びます。膵臓の酵素は膵臓内では不活性の状態で存在し、腸内に分泌されて初めて活性化されます。この動態が何らかの原因で乱れ、膵臓内において膵酵素が活性化された場合に膵炎が起こります。

原因は、犬の場合、胃腸炎による激しい嘔吐・膵管閉塞・腹部の外傷・薬物投与・ウィルス感染などによる膵臓の障害が原因とされています。中年齢以上の犬での発症が多く、雌での発生が比較的高いです。ミニチュア・ダックスフント、ミニチュア・シュナウザー、プードル、コッカー・スパニエル、ウェスティなどの発症率が高いといわれています。脂肪分の多い食事を食べている犬や、肥満犬に発症する傾向があります。猫の場合は、ウィルス性疾患やトキソプラズマ症などの感染症、胆管肝炎、炎 症性腸疾患による炎症が膵臓に波及することが原因とされています。猫でも中年齢以上で多く認められます。しかしながら直接的な原因はまだわかっていません。また、犬でも猫でも普段から吐いているのを放っておくと、膵液の逆流が起こり膵炎になることがあります。

犬や猫が膵炎になると、食欲がない、食べたものや胃液を吐く、軟便、下痢、腹部の疼痛などの症状が現れます。猫の膵炎では、なんとなく食欲がない、なんとなく元気がないなどと症状がはっきり出ない場合もあります。膵炎には、急性のものと慢性のものがありますが、急性膵炎が重症化するとDIC(→No144 播種性血管内凝固症候群)の状態になって命を失うこともあります。

膵炎の診断はおもに血液検査と超音波検査で行います。血液検査では、現在犬と猫の膵炎の診断に最も活用されているのは、PLI(膵特異的リパーゼ)測定です。近年日本で迅速に検査結果が得られるようになり、約80%の診断精度があります。超音波検査では、腫大した膵臓と膵臓周囲の腸間膜の輝度亢進、膵管の拡張、腹水など診断に有用な所見が得られます。報告では、犬の急性膵炎の70%で超音波検査の異常があると示されています。

膵炎は点滴や薬で治療しますが、治るのには時間がかかります。また、いったん治っても再発して慢性化しやすいので、脂肪分の少ない食事を与えるなど、日々の注意が必要です。


No.188 外耳炎3(Otitis Exterma)

以前にも書きましたが、リクエストがあったので今回は外耳炎のお話です。新しいトピックも入っています。外耳炎は、再発性で最も多い来院理由の1つです。良くなっても継続的な管理と経過観察が必要な疾患です。
犬や猫の外耳道は、垂直道と水平道があり途中で曲がっています。耳道は耳垢を産生し、鼓膜のそばの方がアポクリン腺が多く湿潤で、自浄作用があります。汗腺から水、脂腺から脂、上皮から角質、少数の常在菌(マラセチア、細菌)が存在します。

発生要因
・原発性因子:アレルギー、角化症、甲状腺機能低下症、異物、新生物など
・好発性因子:垂れ耳、肥満、耳道狭窄、耳道内被毛、過湿、免疫抑制など
・慢性化因子:過形成、石灰化、細菌・酵母型真菌増殖など

外耳炎の評価
・初発はいつか?
・再発性か季節性があるか?:季節性がある場合は環境やアレルギーに注意します
・痛み、痒み、治療歴、外耳炎以外の症状はないか?
・持病・基礎疾患がないか?
・側性か片側性か?:側性では異物や新生物、両側性で特発性では免疫介在性疾患に注意します
・耳介主体か外耳道が主体か?
・耳垢・皮疹の特徴は?
これらのことを基に、耳道内を、鉗子、綿棒、耳鏡、オトスコープなどで観察し、糜爛、潰瘍、その他の病変がないかどうか、鼓膜の状態、異物、外部寄生虫、過形成、腫瘍がないかどうかを確認します。また、中耳炎、内耳炎などが疑われるときには、CTやMRIを用いる場合もあります。

内科治療
・耳道洗浄:耳垢の蓄積、過度な腺分泌亢進、湿度上昇を管理します。耳垢の排泄を妨げる原因は毛が多いこと(とくにプードル、シュナウザー、ウエスティー、シーズー、マルチーズ、ヨークシャーテリア、コッカースパニエル)、耳道が狭い事、垂れ耳なことです。
・全身療法:必要に応じて、抗菌剤、抗真菌剤、抗炎症剤などを用います。

外科治療
外耳道の腫瘍や、外耳炎で腫れて耳の穴が塞がっているような場合は外科的な介入が必要です。外耳炎は、早期に適切な治療を受けないと、外耳道の管腔が、過形成、皮脂腺の乳頭化、さらには外耳道壁の石灰化などにより、不可逆的に狭くなっていくことがあります。こうなると動物にとって、不快であり、痛みを伴うことになります。これから解放してあげるには外科手術が必要になります。外耳炎の手術法は、垂直耳道のみを切除する(垂直耳道切除術と外側耳道切除術の二つがあります)ものと、全耳道を切除する方法(全耳道切除術)があります。早期の方が簡単な手術で済みます。鉗子や綿棒が入らないくらい外耳道が狭窄気味であれば、薬を入れたり、内服したりしても治りません。早目の手術が必要です。

予防
外耳炎は良くなってからの維持が大切です。予防のポイントは、
・過剰な腺分泌や過剰な湿潤を予防する:高温多湿環境を避ける、温暖時期には早目に定期的な耳の処置をする。
・耳垢を蓄積させない:耳垢を定期的に清掃・除去、耳孔付近の毛の処置をする。
・背景にある原発因子を管理する:とくに若齢ではアレルギー、高齢では内分泌疾患に注意する。
具体的には、良くなってからも、月に1-2回程度の抜毛・洗浄が必要です。ご自宅でできない場合は病院で行います。

外耳炎は酷くなると手術が必要です。良くなってからも定期的なケアが必要です。

こちらもご覧ください
No57 外耳炎1
No58 外耳炎2


外耳炎で狭窄した犬の耳孔


No.187 高齢動物の全身麻酔のリスク

高齢の動物に麻酔をかける時は、若い動物と違い、いくつかのリスクがあります。基本的には、麻酔前の一般状態と血液検査、レントゲン検査、超音波検査などの通常の検査で大きな異常がなければ、年齢が高いから麻酔ができないということはありません(若いに越したことはありませんが)。しかし、通常の検査ではわかり辛い疾患が隠れている場合があります。

全身麻酔時に重要なことはたくさんありますが、とくに重視するのが、呼吸と血圧です。この2つの管理がきちんとなされれば、通常、全身麻酔は上手くいきます。

しかし、一見元気そうに見えても、高齢動物では、脳腫瘍などの脳の疾患や、アジソン病や甲状腺機能低下症などのホルモン異常、洞停止や房室ブロックなどの不整脈などが隠れている場合があります。このような疾患があると、呼吸や血圧に変化が起きて、麻酔時にトラブルが起こる可能性が上がります。一般的に、脳腫瘍で神経症状が出るような状態はかなり進行した状態です。診断するには全身麻酔下のMRIが必要です。また、統計的にはヒトより犬の方が多いというデータがあります。副腎皮質機能低下症(アジソン病)や甲状腺機能低下症も疑わしい症状があれば術前に検査をしますが、費用がかかるため症状がなければ行われない場合が多いです。また、検査をしてもグレ-ゾーンの結果が出ることがあります。洞停止や房室ブロックなどの不整脈は術前に心電図を測定してもわからない場合があります。

このような疾患が隠れていた場合は、全身麻酔のリスクとなります。高齢動物では、検査の結果は正常でも若い時と違い各臓器の機能が弱ってきています。どの場合の全身麻酔もそうですが、メリット・デメリットを総合的に判断して、動物のために一番良い選択をすることが必要です。

こちらもご覧ください
No77 犬の甲状腺機能低下症
No80 副腎皮質機能低下症
No117 全身麻酔
No137 不整脈


No.186 AIM(Apoptosis inhibitor of macrophage;CD5L)

東京大学の宮崎徹教授が発見し、教授のチームが研究している、血液中のタンパク質AIMは、現在では治療の難しい、腎不全、肥満、脂肪肝、肝硬変、糖尿病、動脈硬化、自己免疫性疾患、各種の癌、認知症などの様々な難治性疾患に対してとても効果的な治療が行える可能性が高いと期待されています。

AIMは、体の中で血液細胞の一種であるマクロファージだけが特異的に産生する分泌タンパク質で、マクロファージで作られた後いったん血液中に出ます。ヒトでは通常1ml当たり5~10μgぐらいの AIMを血中に持っています(全ての哺乳類はAIMを持っています)。AIMの機能について最初に発見されたのが、マクロファージ自身のアポトーシス(遺伝子にプログラムされた細胞死)を抑制して細胞を長生きさせるというものでした。そのため Apoptosis Inhibitor of Macrophage (AIM)と名付けられました(CD5Lと呼ばれることもあります)。

AIMはヒトや動物のIgMとくっついていて、体内で障害が起こると出動します(宮崎教授はIgMを航空母艦、AIMを戦闘機と例えていらっしゃいます)。AIMはヒトや動物の体内に起こった有害な免疫反応をきれいに掃除してくれます。ヒトを含め動物の体はAIMにより守られていて、生まれつきAIMが少ない場合、また、充分に持っていてもIgMからAIMが出動できない場合(ネコ科の動物はこのタイプのようです)。などに上記の難治性の病気が起こると宮崎教授のチームは考えています。

今年の飼主様向けセミナーに出席していただいた方の中には覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、私が癌にならない動物として紹介したハダカデバネズミは特殊なAIMを持っているそうです。

AIM凄いです。ヒトが120歳、犬や猫が30歳まで生きる時代が来るかもしれません。早く実用化して欲しいです。


ハダカデバネズミ


No.185 雷や台風、花火の音に対する不安症

これからの季節、雷や台風、花火の音に対する不安でパニックになる動物が多くみられます。これらの不安症は、前回解説した、なんでもかんでも怖い『全般性不安症(Generalized anxiety,GAD)』の1つと診断されることが多いです。

主な症状としては、
・パンティング
・隠れる
・飼主さんにくっつく
・排泄の失敗(猫トイレの失敗も雷恐怖症から始まるときがあります)
・流涎
・吠え、くんくん言う
・自虐、破壊
などがあります。雷や台風に対しては、来そうな天候のとき、あるいは雷や台風の前に不安行動をみせる場合もあります。

治療は程度によりますが、先に身体的な病気がないかを調べ、やはり全般性恐怖症という診断がくだれば、環境の整備と行動療法をします。ポイントは
・パニックになっても怪我をしない環境を作る
・隠れたい動物は隠れさす
・怖がる犬をなだめない
・ご褒美など入ったおもちゃで気を散らす
・拮抗条件づけ脱感作法(雷CDなどを使う)
です。花火など日時が分かっているものは、その間だけ逃げるのも1つの方法です。全般性不安症は症状が重篤な場合は、薬剤での介入をする場合も多くあります。ベンゾジアゼピンなどの抗不安薬やホメオパシーなどの代替療法で上手く行く場合もあります。

こちらもご覧ください
→No59 雷恐怖症
→No183 犬の不安障害1
→No184 犬の不安障害2


No.184 犬の不安障害2

犬の分離不安症、前回からの続きです。

治療
安全対策、行動修正、薬物療法、代替医療
などを適切に組み合わせて行います。

安全対策:逃亡、破壊時、誤食などに注意し、必要なら動物病院で預かる場合もあります。

行動修正:基本的なものを挙げます。
・飼主さんが出かける前に10-15分ほど犬を無視する。「いってきます」のご挨拶もしない
・時間をかけてごほうびを取り出さなくていけないようなおもちゃ(コングなど)を出かける10分くらい前に与える
・帰宅後も10分ほど犬を無視
・飼主さんの外出時のルーティン行動を変える
・お出かけフェイントをかける
・クレートの変わりに大きめのサークルにする
・拮抗条件づけと脱感作法
・ベルなどを使うトレーニング (計画的留守番トレーニング)
・ケージトレーニング
このようなこと組み合わせて、根気よく行います。

薬剤療法:必要な場合は、抗うつ剤、抗不安剤などを適切に使用します。抗うつ剤は以前は三環係抗うつ剤(TCA)が使用されていましたが、現在では選択性セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)がよく使われています。しかし、抗うつ剤のみで治療はできません。薬剤は行動修正の補助のようなイメージです。また、抗うつ剤は効果が出るまで2ヶ月くらいかかります。そのため即効性のある抗不安剤を併用する場合があります。抗不安剤はベンゾジアゼピンという薬がよく使用されます。作用は、お酒によって酔い気分になって不安を忘れるというイメージです。

代替医療:行動修正の補助として、サプリメントやホメオパシー、漢方などを使用することもあります。抗うつ剤や抗不安薬よりも副作用が少なく、体質や証が合えば非常に効果的です。

予防:ペットショップや動物愛護センターから来たばかりときの最初が肝心です。犬は過剰に甘やかすことで分離不安症を発症することが分かっていますので、過剰に甘やかすことはやめ、いつでも飼い主離れができるようにしておきます。具体的には、生後1年間は別々に寝る、飼主さんが毎日の行動パターンを一定にしないことで何が起きても動じない子にする、社会性を身につけさせ、人や音、物などに慣れさせておく、などが挙げられます。パピークラスやワクチン時に専門家に相談することも大事です。

特殊な分離不安症もあります。

全般性不安症 (Generalized anxiety,GAD)
全般性不安症では、様々な活動や出来事について過剰な不安や心配が生じ、このような状態が通常ほぼ毎日6ヶ月以上続く場合をいいます。明確なきっかけがないにも関わらず、 常にリラックスできず、普通の生活を送る事ができずに、ちょっとした変化にも動揺し、小さな出来事に過剰に反応する場合です。なんでもかんでも不安という、とてもかわいそうな状態です。治療の対応は基本的には同じですが、薬剤の介入が必要なことが多いです。

音に対する恐怖症
音に対する恐怖症は、全般性不安症と診断されることが多いです。電子レンジや冷蔵庫、携帯の着信音など、様々な音が恐怖です。まずは、耳の病気や内分泌疾患がないことを確認します。この疾患も基本は分離不安症と同様の対処をしますが、症状が重篤なので、薬剤を使用することが多いです。