No.258 犬の脳炎

犬の脳に炎症が起きて、ひどくなると壊死を起こす病気で、てんかんのような痙攣発作や視力障害、頚の傾き(斜頸)や眼振などの前庭障害を起こします。重症化すると意識障害を起こします。若い犬でも発症が見られます。

原因はウィルスや細菌、真菌、原虫に感染して起こる感染性のものと、非感染性のものにわけられますが多いのは後者です。感染性のものは犬ではジステンパーウィルスが原因のものが多いです(猫ではFIPウィルス)。非感染性のものは自己免疫性疾患だと考えられています。

犬の非感染性脳炎は、主に以下の3つに分類されます。

肉芽腫性髄膜脳炎(GME):脳の中に肉芽腫ができて、肉芽腫が出来た場所によって症状が違います。好発犬種はなく、多くの犬種で発生します。大型犬は比較的稀です。

壊死性髄膜脳炎(NME): パグで多く発生するため、別名パグ脳炎とも言われています。シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、チワワなどでも発症します。大脳皮質が炎症を起こし、脳が壊死して行きます。

壊死性白質脳炎(NLE):脳の白質に病巣を形成します。ヨークシャーテリア、チワワによくみられます。

脳炎の診断鑑別には、似た症状を示す病気を除外したのちに、最終的にMRI検査やCFS(脳脊髄液)検査で行います。

治療は、免疫抑制剤、抗てんかん剤で症状をコントロールします。GMEの場合は放射線療法を行う場合もあります。代替医療が著効する場合もあります。

こちらもご参照下さい
No89 癲癇、てんかん