No.277 自己免疫性溶血性貧血 (Immune hemolytic anemia,IHA)

自己免疫性溶血性貧血は、自分の赤血球に対する自己抗体(自分の細胞、組織に対して産生される抗体)が産生され、血管内や脾臓、肝臓骨髄内で免疫的機序により赤血球が破壊される疾患です。犬でよくみられ、プードルやマルチーズ、シーズー、コッカースパニエル、アイリッシュセッターでの発症が多いといわれています。♀の方が発症が多く、♂の2~4倍です。また、なぜか寒い時期に多い印象です。猫では猫白血病ウイルス(FeLV)の感染に関連してみられることが多く、性差、品種差はありません。原因も不明です。

症状は元気、食欲不振などの貧血の諸症状の他、発熱、血色素尿、黄疸、脾腫、肝腫などがみられます。

診断は、症状の他、赤血球に自己凝集(赤血球同士が結合してしまう反応)が認められることや、クームス試験(赤血球表面に抗体が付着しているかを証明する検査)、球状赤血球の出現などから行います。骨髄検査が行われる場合もあります。

治療は、自己抗体による悪い免疫反応を抑える治療を行います。最初は副腎皮質ホルモン剤を用いることが多いです。反応が悪い場合は、その他の薬を考慮します。再発性、難治性の場合は脾臓の摘出が効果的な場合があります。60%くらいの症例は回復しますが、重度の自己凝集や血色素尿がみられる場合、血小板減少を伴った場合は予後が悪いです。


自己凝集している赤血球

こちらもご参照下さい
No276 溶血性貧血