No.477 犬の環椎軸椎亜脱臼 (環軸亜脱臼)

脊椎のうち第一頚椎を環椎、第二頚椎を軸椎といいます。通常、脊椎と脊椎は椎間板が間に挟まってクッションの役目を果たしていますが、環椎と軸椎の間には椎間板が存在しておらず4つの靭帯によって支えられています。生まれつき、あるいは外傷などによってこれらの靭帯の形成に異常が起こると、環椎と軸椎が亜脱臼を起こし脊髄が圧迫を受けます。このような状態を環椎軸椎亜脱臼 (環軸亜脱臼)といいます。

犬の環軸亜脱臼は大半が生まれつきの靭帯形成異常によるもので、半数以上が1歳未満に初期症状を示します。中には成犬、老犬になってから、怪我や激しい遊びなどによって症状が起こる事もあります。原因が不明の場合もあります。大多数がチワワ、ポメラニアン、マルチーズなどの小型犬種で発症しますが、中型犬以上でも認められる事があります。猫ではあまり起こりませんが、馬やラクダなど様々な動物種で報告があります。また、肥満は悪化因子です。

主な症状は、頭部を動かすと激しい痛みを感じ、頭や頚を触られることを嫌がります。抱っこをすると痛がる場合もあります。症状が軽い場合は軽い麻痺やナックリングだけの場合もあります。骨と骨が不安定なので些細な運動や衝撃で急激に症状が進んでしまう場合もあります。重症化すると起立不能となり、呼吸筋に麻痺が出ると呼吸困難になって生命に関わる様になります。

診断には頸椎のレントゲン検査、場合によってはCT、MRI検査が必要ですが、頸椎が不安定な可能性がある犬に対しては細心の注意が必要です。レントゲン写真上は本症のように見えても、MRIやCT検査で頭蓋骨と環椎の間の関節に起こる別の異常であると判明する事もあります。

症状が軽度であったり若い犬の場合には、安静と頚のコルセットを数週間装着する事で症状に改善が見られる事がありますが、外科手術によってこの2つの頸椎を固定する方法が最も有効な治療方法です。骨に特殊なピンを数本挿入して骨セメントで固める方法が成績が良いですが、犬の大きさや年齢によっては骨が柔らかすぎて手術が困難な事もあります。術後は骨同士が癒合するまでの間(6-8週間)安静が必要です。


犬の環椎軸椎亜脱臼