No.24 アトピー2

アトピーが疑われた場合に行う最初のステップは除去食試験です。今まで摂取したことのないたんぱく質や、人工的に合成したたんぱく質のフードを2~3週間食べてもらいます(一昔前は、2~3ヶ月の期間の試験が必要といわれていましたが、現在では2~3週間で十分だといわれています)。その間の注意点は、水とそのフード以外はおやつも含め、他のものはいっさい与えないことです。内服薬も使いません。シャンプーはOKです。25%ぐらいがこの試験にひっかかります。2~3週間で改善が見られた場合は、食事に気をつけることと、シャンプーで管理をしていきます。一般的に食物アレルギーの場合は、1歳未満から発症している。最初に顔面(とくに眼と口)と背中、肛門の周りから発症した。便の回数が多い(1日3回以上)。季節性がない。などが特徴です。

除去食試験で、食事が主な原因でない、食物アレルギーでないと判断された場合は薬物を使った治療になります。主なものをご紹介します。

シャンプー

アトピーの治療で、シャンプーは非常に大事です。以下に解説する全ての薬と併用します。ベタベタと湿っている、カサカサと乾いているなどの症状に合わせてシャンプー剤や保湿剤を選択し、可能なら週に2~3回行います。詳しくはシャンプーの回をもう一度ご覧下さい。最終的にシャンプーだけでアトピーの管理が出来れば理想的です。

減感作療法

皮内反応試験を行った場合は、減感作療法を行うことが可能です。薄い抗原から徐々に濃い抗原を注射し抗原に体を慣らしていく治療です。しかし、問題となる抗原が1つでない場合も多く、時間や費用の面から最近では行われる頻度が減っています。きちんと行うことが出来れば非常に良い治療法です。

インターフェロンγ

最近流行りの治療法です。抗原が体内に侵入すると、ランゲルハンス細胞(見張り役の細胞です)が異常を感知し抗原を取り込み、ヘルパーT細胞(免疫応答の根幹の細胞です)に提示します。ヘルパーT細胞にはTh1とTh2があり、通常は主にTh1が司令塔となり免疫グロブリンG(IgG抗体)を産生します。これが正常な免疫反応です。しかし、アトピーの場合はTh2が主な司令塔となってしまい免疫グロブリンE(IgE)を産生してしまいます。これは悪い免疫反応でトラブルを起こします。IgEが肥満細胞や好酸球を活性化させ皮膚に痒みが生じます。つまり、正常な場合はTh1>Th2でアトピーのときはTh1<Th2となってしまっているということになります。

インターフェロンγはTh1<Th2の状態をTh1>Th2の状態に戻すことによりアトピーを治療します。実際には、インタードッグという注射を週に2~3回、4週間程度継続し、その後、だんだんと回数を減らしていきます。3ヶ月以内に約70%の症例で効果が認められ大きな副作用はありません。問題点は導入期のコストが高いことですが、うまく行くと1~2ヶ月に1回の注射でよくなります。とくに5歳以下の若い動物で効果が上がりやすいといわれています。