No.9 犬、猫に与えてはいけない食品、薬

犬、猫に与えてはいけない食品、薬

人間には無害だったり有益でも、動物には与えてはいけないという食品や薬のことをお話させていただきます。いずれの場合も、感受性による個体差、摂取量、体調などにも依存しますが、以下のものは危険です。2回に分けて解説させていただきます。

まずは、ユリ科の植物。ネギ類は有名ですね(ネギってユリの仲間なんですね)タマネギはもちろん長ネギもだめです。アリルプロピルジスルフィドという成分によって、犬猫の赤血球が壊され貧血(溶血)を起こします。また、溶血が進むと赤いオシッコ(血色素尿)をすることがあります。感受性の高い場合は短時間で死亡することもあります。他のユリ科の植物には、ニンニク、アロエなどもあります。本によってはニンニクを食べさせると虫が付かないなどと書いてあるものもありますが、絶対に止めましょう。また、現在では、ネギ中毒を起こしやすいかどうかを調べることも可能ですが、与えないに越したことはありません。チューリップやスズラン、スイセン、ヒガンバナもユリ科です。これらも、誤ってワンちゃん、猫ちゃんが食べないように注意してあげて下さい。

次はチョコレートです。チョコレートに含まれるカカオには、テオブロミンが含まれていて、犬の心臓など循環器系や中枢神経に作用し、嘔吐、下痢、不整脈、痙攣が起こることがあります。肝臓や腎臓を悪くした犬も診たことがあります。ひどい場合は突然死も起こると言われています。コーヒーに含まれるカフェインにも同じような作用があります。

歯に良いと言われるキシリトールも、犬で低血糖が報告されています。最近では減りましたが、歯磨きガムにキシリトールが添加されているものがありました。注意して下さい。

貝類、甲殻類、イカ、タコなどの頭足類には、ビタミンB1を破壊するチアミナーゼが含まれており犬猫にビタミンB1の欠乏を起こします。猫の方が犬の5倍のビタミンB1を必要とするため症状を出しやすいです。神経症状や眼のトラブル、成長障害などが主な症状です。猫がイカを食べたら腰を抜かす。と言うことを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、このチアミナーゼが原因です。ただし、チアミナーゼは熱に弱いので火を通したものは大丈夫です。

卵白にはアビシンが含まれていて、ビオチンと呼ばれるビタミンHと特異的に結合し、犬猫にビオチンの不足を起こします。ビオチンの不足は皮膚のトラブルを起こします。アビシンも加熱処理すれば失活します。また、卵黄にはビオチンが多く含まれるため、全卵で与えるのも良いでしょう。

有名なものもありますが、意外なものもありますね。残りは来週に。