No.129 犬や猫が吐くとき 1 (Reverse)

「吐く」は飼主さんにもすぐわかる症状です。犬猫は胃が横向きになっており、胃液も濃いので吐きやすい動物です。犬猫が吐いている場合には、まず「吐き出し(吐出)」なのか「嘔吐」なのかを考えます。また、似た症状で「嚥下困難」があります。この違いからだけでも、食べ物を吐き出した原因がどこにあるのか、ある程度、鑑別をつけることができます。以前にも、嘔吐・吐出のことは書きましたが、今回はもう少し詳しく解説します。

・吐き出し(吐出)
胃に達する前の食道に詰まったものを吐き出すことで、吐いたものは胃まで達していないため未消化の状態です。あまり大きな前触れがなく起こる場合が多く、唾を飲み込めないような様子が見られることがあります。
原因は主に食道にあり、頻繁な場合には、食道炎、食道狭窄、巨大食道症、血管輪異常(右大動脈弓遺残症)、食道の腫瘍などを考えます。

・嘔吐
胃に達した物が腹壁の収縮を伴い吐き戻されることで、吐いたものの消化が始まっている状態であることをいいます。犬猫が嘔吐をする際には吐き気やよだれが見られることがあり、不安そうな様子を見せることもあります。また吐いた物には、通常、白っぽい場合(唾液)、透明な場合(胃液)、黄色っぽい場合(胆汁)がありますが、血液が混ざると赤や黒いもの、コーヒー色のものが混ざります(吐血)。
嘔吐は、空腹時、早食いや、食後の急な運動などでも起こりますが、異物の誤食(猫の毛玉症もこちらに相当します)、胃腸炎、肝胆道系疾患、腎疾患、膵炎、潰瘍、腫瘍、脳神経系の病気なども考慮しなければなりません。

・嚥下困難
上手く食べ物が飲み込めないために食べ物を吐き戻してしまうことで、口の中、咽頭、食道の上部に問題がある場合に起こります。ゴクンと飲み込むことができず吐いてしまう状態です。
主な原因は歯周病、咽頭部の炎症・腫瘍・神経の問題、破傷風、日本では約50年発生はありませんが狂犬病などでもみられます。

以下もご覧下さい
No.26 嘔吐と吐出
No.27 猫の毛玉症と猫草