No.392 鼻腔狭窄

鼻腔狭窄

鼻腔狭窄とは生まれつき鼻の穴が狭い状態のことを言います。見た目ですぐに分かります。鼻が狭くて症状が重いと鼻呼吸をする際にブーブーと音が鳴ります。症状が軽くても運動時や興奮した際に音が出る場合もあります。

鼻腔狭窄を起こしやすい犬種は短頭種と呼ばれるブルドッグやフレンチブルドッグ、パグ、シーズーなどのいわゆるマズル(鼻)が短い犬たちです。短頭種では短頭種気道症候群(BAS)と呼ばれる、鼻腔狭窄、軟口蓋過長症、喉頭小嚢反転、気管虚脱などを引き起こすことがあります。スコティシュフォールドやマンチカンなどの猫の短頭種でも起こります。

鼻の穴が狭いと呼吸をするときに息を吸う強さが強くなります。常に強い力で息を吸う状態が続いてしまうと気道の圧力が上がり、喉頭虚脱や気管虚脱の原因となります。さらにその状態が継続すると喉頭虚脱や気管虚脱のグレードが進行し、呼吸困難や体温調節がうまくできずに高体温や失神の原因になり、悪化すると命に関わる状態になります。

根本的解決には外科治療で鼻の穴を広げる外鼻腔拡張術を行います。これは鼻の穴の狭い部分を切り取って鼻の穴を広げる手術です。術後は鼻の通り道が広がり、鼻呼吸がとても楽になります。今までブーブー聞こえていた呼吸音がなくなってスースー通るようになります。

また、鼻腔狭窄を患った子の多くは軟口蓋過長症を持っている場合があり、ガーガーを巻き込まれるような呼吸音も伴っている場合が多く、この病気も気管内圧を上昇させる一因となります。

鼻腔狭窄を患った1歳未満の犬に外鼻孔拡張と軟口蓋切除を行った場合の短頭種気道症候群の改善率は96%の一方で、より高齢で手術を行った場合の改善率は69%です。また、病態が進行した場合の短頭種の麻酔はハイリスクとなりますのでメリットとデメリットを検討し、総合的に判断します。気管が変形する前に予防的に手術をすることもポイントとなります。


鼻腔狭窄のパグ

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No101気管虚脱と軟口蓋過長症2
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