No.64 コミュニケーション行動3 聴覚信号(Auditory signal)

聴覚信号の特徴

吠えや遠吠え(Howl)などの、犬の聴覚信号を用いたコミュニケーションは、長距離の情報伝達に有用です。一方、唸り声やキュンキュン鳴く声は、短距離、中距離でのコミュニケーションに用いられます。犬の吠え方は状況によって異なり、例えば、縄張りの意識に関連するもの、攻撃的な吠え声、仲間に警戒を促す吠え声など様々ありますが、ヒトにもある程度の識別は可能です。オオカミの遠吠えは、狩りの前に仲間を集めるためであったり、他のオオカミとの社会的な接触を求めるためであったりすると考えられています。

情動を反映する発声

犬は、他のイヌ科の動物と比べて、吠える(Bark)行動が出やすいといわれています。一般的に、若い動物の方が吠える頻度は高いです。侵入者の気配に対してよく吠えるということは、ヒトにとって都合の良い形質として家畜化されてきました。

唸り声(Growl)は、攻撃的な状況で発せられることが多く、キュンキュン鳴く声(Whine)は、挨拶のときや不満なとき、服従行動をとっているときなどに発せられます。犬は超音波領域の音にも感受性がありますが、獲物となるげっ歯類などの発する超音波を捉えて居場所を特定しているのではないかと考えられています。

猫の聴覚を介するコミュニケーション行動

猫の五感の中では聴覚がもっとも優れているといわれています。暗い森の仲で獲物を待ち伏せして生き延びてきたからなどと説明されています。犬が嗅覚の動物なのに対し、猫は聴覚の動物であるといえます。鳴き声によるコミュニケーションは猫同士の距離を保つために重要で、基本的に非社会的な動物である猫同士が突然に出くわすのを防いでいるとされています。猫の鳴き声は様々ですが、口を閉じたまま発する喉を鳴らす声ゴロゴロ(Purr)、最初に口を開けそれから徐々に閉じて行くときに発せられる誘惑するような、あるいは欲求や不満をあらわす泣き声ニャーオ(Meow)、そして、口を開けたままで発せられる激しい感情をあらわす声シャー、フーッ、ギャー(Hiss)の3つのカテガリーに分けられます。