No.17 学習その4オペラント条件づけ2学習まとめ

今度は噛み付いてくる子犬を例にとってみましょう。

1 正の刺激で強化:やめたらかじり木やコングなどを与える。遊んであげる。

2 負の刺激で強化:噛んで来たら、口に手をグーにしてつっこむ

3 正の刺激で罰:ぶっ飛ばす

4 負の刺激で罰:無視、後ろを向いてしまう

2や3がよくないのは、もうおわかりだと思います。実際には、1と4を組み合わせて、噛んで来た→無視、後ろを向く→噛むのをやめた→遊んであげる。ということを繰り返すことになります。

基本的に『何が悪かったかを伝え→負の罰を与え→どうすれば良かったかを伝える』

ということの繰り返しです。動物の場合は何が悪かったのを伝えるのと負の罰は同時になりますね。その後、ある悪い行動をやめたら、おもちゃを与えたり遊んであげたりします。

罰訓練は難しいです。とくに3の正の罰は前述したように非常に困難です。ただ、天罰にした場合は使えることもあります。例えば、いつもテーブルの上に乗ってしまう猫ちゃんがいたとします。テーブルの上に両面テープを貼って、乗った猫ちゃんがびっくりして嫌がるようにします。このような使い方なら3の正の罰も有効です。繰り返しになりますが、痛みを感じる体罰はやめましょう。とくに、罰訓練においてある行動を抑制出来ないときに、さらに強い罰を与える訓練は絶対にしてはいけません。

しつけやトレーニングが上手く行かないときに、よく起こっている問題は

・バースト時に飼い主さんが頑張りきれない

・毎回無視していない

・無視が無視になっていない

・変わりに何をしたら良いのかが伝わってないので、また元にもどる

などがあります。

しつけやトレーニング、問題行動の治療は、西洋医学的な薬のように即効性があるものではありませんし、多くの問題が重なって簡単に結果が出ない場合も多いかと思います。ご家族全員の時間と根気、何より愛情が必要です。トレーニングはかわいそう。なんて声を聞くことがありますが、トレーニング、学習は動物にとっては非常に嬉しいことです(とくにワンちゃん)。きちんとした方法で根気よく続けてみて下さい。もちろん、上手く行かない場合は当院までご相談下さい。

今回の内容は、入交眞巳先生(北里大学)の横浜動物医療センターでの講義、高倉はるか先生(株式会社トリーツ)のリンゲルゼミでの講義を参考にしております。