No.93 腫瘍2 (Tumor) 悪性腫瘍の分類

腫瘍は発生部位によって、上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍に分類されます。皮膚や粘膜から発生する悪性腫瘍を上皮性腫瘍といい癌腫と呼ばれます。胃癌、乳腺癌、扁平上皮癌、膀胱移行上皮癌などです。皮膚、粘膜以外の部位から発生するものを非上皮性腫瘍と呼び、悪性の非上皮性腫瘍はさらに、骨、筋肉、神経から発生する肉腫と、主に血液細胞から発生する独立円形細胞腫瘍に分けられます。肉腫の例としては骨肉腫、軟部組織肉腫などがあり、独立円形細胞腫瘍の例はリンパ腫、肥満細胞腫などです。また、明確に定義されているわけではありませんが、一般的に、ひらがなの『がん』は悪性腫瘍全体(癌腫、肉腫、独立円形細胞腫)を指します。漢字の『癌』は癌腫を意味します。

悪性腫瘍、すなわちがんは、我が国において昭和56年よりヒトの死因の第1位です。厚生労働省の発表では、現在日本人は年間100万人強が死亡しており、そのうちの34万人ぐらいが、がんで亡くなっています。約3人に1人です。また、生涯のうちにがんにかかる可能性は男性の2人に1人、女性の3人に1人と推測されています。

高齢化が進んでいる動物にも同じような兆候がみられます。アメリカの統計ですが、現在、犬で2頭に1頭、猫で3頭に1頭が、がんで亡くなると言われています。

がんは一般的には高齢の動物に発生しやすいですが、例外もあります。

・猫白血病ウィルスに感染している猫は若齢でも悪性腫瘍を発症する

・ミニュチュア・ダックスフントの消化器型リンパ腫の発生は平均3歳である

・骨肉腫、横紋筋肉腫は若齢でも発症する

・6ヶ月未満の犬では、脳腫瘍、血液の腫瘍の発生率が高い

などです。

また、これもアメリカの統計ですが、特定の犬種が悪性腫瘍を発症する可能性が高いことが報告されています。ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバー、ロットワイラーです。

続きます。