No.381 皮膚のしこり(結節)1

動物を撫でていると、皮膚の表面、あるいは皮膚の下にしこり(結節)やコブを見つけることがあるかもしれません。そんな時はまずは慌てずに、他の部分にもないかきちんとチェックして、場所や大きさを記録しておきましょう。動物が気にしているかどうか、大きくなって来ていないかも重要です。写真が撮れれば撮ってください。動物の体の表面にできるしこりの原因として考えられるのは、皮膚にできる腫瘍(良性、悪性含む)のほか、皮膚の炎症や外傷でもしこりのように見えたり触れたりすることもあります。しこりやコブの正体が、実は単純な炎症だったということもあります。

動物に最も多く見られる腫瘍は皮膚腫瘍であるという報告があります。動物の皮膚を定期的にチェックすることは、健康を保つために必要なケアの1つです。週に一度くらいは、鼻先からしっぽの端までの全身をくまなく調べるようにしましょう。見落としがちな場所、たとえば足指の間、尾の裏側、嫌がらなければ口の中なども念入りにチェックしてください。

しこりを正確に診断するためには、いくつかの検査が必要です。検査の一例として針生検(FNA)ががあります。これはしこりやコブを評価するための低侵襲の手技の一つで、細い針を使って細胞を採取するものです。採取した細胞をスライドグラスに載せて染色し、顕微鏡で検鏡します。しこりのタイプによってはその場で診断がつくこともありますが、検査機関にスライドを送って専門家に評価してもらわなければならないこともあります。しこりのタイプによっては、メスやパンチを使ったもっと大きな生検や組織切除が必要になることがあります。これらは穿刺吸引よりも侵襲性が高い手技で、局所麻酔、鎮静あるいは全身麻酔処置が必要になります。

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No296生検
No215犬の皮膚腫瘤