No.105 老化2 (Aging) 外観と行動の変化

全ての動物が避けられない老化をケアして、快適な日が続くように、以下のようなサインに気を配ってみてください。生理的な老化だけではなく病的な老化を伴っている場合もありますので、サインがあれば早目の受診をおすすめします。

外観の変化
被毛:白髪が顔から目立つようになり徐々に体に広がります。犬では甲状腺機能低下症によって毛質が変わり、つやがなくなり薄くなります。
皮膚:弾力がなくなり、乾燥または脂漏の状態になります。イボなどのできものができたり、シミがでてきます。寝たきりの状態になってしまうと褥瘡ができやすくなります。
眼:視力の低下、白内障になります。
口:歯石がたまり歯茎が腫れ、歯周病を起こします。歯周病は心臓や腎臓に大きなトラブルを起こす場合があります。(→歯周病)
体重:基礎代謝や運動量が低下して食事の量が同じでも太りやすくなります。関節が痛いとか歯や口が痛くて十分なカロリーが取れなかったりホルモンの病気などで痩せる場合もあります。
体形:背中や後肢に痛みが出てくると、歩行時に前に体重をかけ後肢の負担を減らそうとします。その結果後肢や臀部の筋肉が落ちてお尻が小さくなります。側頭筋、こめかみの筋肉の減少がみられます。

行動の変化
歩幅:変形性脊椎症(→変形性脊椎症)などからの背中の痛みや後肢の各関節の痛みによって、後肢の歩様がトボトボと元気なく小刻みに歩くようになります
呼びかけへの反応の低下:耳が遠くなっている、関節などに痛みがあり動きたくない、頑張ってそばに行っても良い事がない、などが考えられます。
よく立ち止まる、階段を上らなくなった:視力が衰えて怖い、痛みがどこかにある可能性があります。
水をよく飲む:腎臓疾患、肝臓疾患、各種のホルモンの異常などでPUPD、多飲多尿症といわれる状態になります。(→PUPD)
認知症:いったん正常に発達した知能が後天的な脳の器質的変化によって低下する状態です。残念ながらヒトの場合と同じように良い治療法は今のところありません。とくに犬において大きな問題です。

次回は体内ではどういう変化が生じているかの話です。