No.126 犬のしつけのコツ (Training)

しつけのことを簡単に説明するのは困難ですが、すぐに実践できるコツを書いてみます。
まずは、飼主さんが主導権を握りリーダーになることが重要です。このときのコツは、暴力・怒り・緊張などのネガティブな感情をださないことです。リーダーには威厳が必要です。泣いたり、喚いたりなどのマイナスの感情をあらわにすることは、犬からリーダー失格の烙印を押されてしまいます。
次に根気強く行うことが大事です。しつけには時間と忍耐が必要です。ヒトの子供のしつけだって大変なのですから言葉を話せない犬ではなおさらです。すぐに結果が出ないのは当たり前です。焦りは禁物。新しい事にチャレンジするときは、毎日10分~15分間の短時間、集中して反復練習を続けてみてください。
また、ご褒美(おやつ・褒める)をうまく使うとしつけははかどります。ご褒美のタイミングは良い事をした直後です。直後でないと犬はなぜご褒美を与えられたのか理解できません。小さい事でもよいから良い事をした直後はご褒美を与えてあげて下さい。叱るときも同様です。悪いことをした直後に叱って下さい。このとき叩く必要はありません。大きな声で「ダメッ!」「イケナイッ!」と言えば十分です。過度に甘やかさず、優しさと厳しさ、誉める・叱るのメリハリを意識してください。<br> それから、飼主さんが同じ態度、同じ言葉で接することも必要です。同じ事をしても、ご褒美が貰えるときとそうでないときがあったり、誉めるとき、叱るときの言葉や号令がそのたびに違うと犬は混乱します。家族みんなで言葉や号令、出来ればトーンも統一しましょう。
最後に一番大切なのは、しつけを楽しく行うことです。飼主さんが楽しんでいると犬も楽しくなります。かけがえのない愛犬との出会いと、過ごせる毎日の幸せを楽しんでください。

しつけの具体的な方法についてはメルマガバックナンバー
No14:学習その1 馴化、洪水法、脱感作
No15:学習その2 古典的条件づけ
No16:学習その3 オペラント条件づけ1
No17:学習その4 オペラント条件づけ2 まとめ
もご参照ください。

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No.125 去勢手術・不妊手術 (Castration・Spay)

去勢手術・不妊手術のメリット、デメリットを解説します。

まずはメリットとして
・将来の病気の予防となる
雄の場合:前立腺肥大、各種の精巣腫瘍、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニア
雌の場合:乳腺腫瘍、卵胞嚢腫などの各種の卵巣疾患、子宮蓄膿症などの各種の子宮疾患
やっかいな病気が多いです。
・発情に関する問題がなくなる
猫の過発情などの原因は卵巣疾患ですが、動物の性欲は1次本能です。1次本能とは、ヒトにおける食欲、睡眠欲などの生きていく上で我慢が難しいものをいいます。ヒトには理性があり性欲をコントロールしていますが、動物では性欲は食事や睡眠と同じくらい抑えるのが困難な本能です。『発情している時に交配出来ないのは、お腹が空いている時に目の前にごちそうを出されて食べてはいけないと言われている状態』と例えられます。適切な時期に去勢・不妊手術を行うことで動物も心の安定を得られます。
・問題行動の発生の可能性が減る
雄猫のスプレーや雄犬の攻撃性などの発生の可能性が減少します。
・飼い主のいない子供が生まれなくなる

デメリットとしては
・子供が得られなくなる。
・全身麻酔下の手術が必要
・太りやすくなる
・雌犬の攻撃性が増進される場合がある(稀)。

上記のようなことを鑑みて、最終的には飼主さんの判断になりますが、極端に言えば『子供を得たいかどうか』この1点に尽きると思います。子供がいらないのであれば手術をしてあげた方がヒトも動物も快適に過ごせると思います。 そして手術を受けるなら、生後5ヶ月目~7ヶ月目くらいがお勧めです。乳腺腫瘍や問題行動に関しては、この時期を逃すと病気や問題の発生率が上がります。

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No.124 夏に気をつけたいこと

今年の夏も熱いですね。以前にも書きましたが、犬、猫、うさぎ、フェレット、ハムスターなどは、室温25℃以下、湿度60%以下の環境が理想です。横浜の夏は、動物が快適に過ごすために扇風機だけではなくエアコンの使用が必要です。

この時期に多くみられる熱中症の症状は、高体温、あえぎ呼吸と呼吸困難、舌や粘膜が鮮やかな紅色となり、唾液は濃く粘っこくなります。嘔吐・下痢が始まる場合もあります。
症状が進むと脱水が起こり、腎前性の高窒素血症となり、痙攣、シヨック、虚脱、DIC(播種性血管内凝固)という状態になり死亡します。とくに高齢動物、持病のある場合、短頭種などは注意が必要です。
熱中症にまではなっていなくても熱さ負けをして、貧血、白血球の上昇、痒みなどが出てきている動物も多く診ます。
お散歩も涼しい時間に行くのは当然ですが、日が落ちてすぐだとアスファルトがまだ熱を持っていて肉球を火傷することもあります。

また、熱さとは直接関係はありませんが、花火などの大きな音に対して恐怖心がある動物も対応が必要かもしれません。お心当たりの方は早めにご相談ください。

ヒトと同様に動物でも高齢化の波が押しよせています。成犬や成猫の1年はヒトの4~5年に相当します。去年は大丈夫だった環境が今年はダメということがよくあります。温度に注意して健康に熱い時期を乗り切ってください。

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No.123 下痢 (Diarrhea)

下痢は日常によく遭遇する症状ですが、犬や猫が下痢をしている時に獣医さんが一番最初に考えることは大腸性の下痢なのか小腸性の下痢なのかということです。通常は犬では大腸性の下痢が起こることが多く猫では小腸性の下痢が多いです。

大腸性の下痢の便は
・1回の便の量が少量で通常時に比べて回数が増える
・粘液が混じる
・出血がある場合は鮮血が付く
小腸性の下痢の便は
・1回の便の量が大量で回数は通常時と変わらない
・粘液は混じらないことが多い
・出血がある場合は潜血となり黒っぽい便になる
まずは上記のような特徴から判断します。

主な原因としては
大腸性の下痢:食べ過ぎ、誤食、各種の感染症、食事に対するアレルギ-、腫瘍etc
小腸性の下痢:リンパ管拡張症、形質細胞性腸炎、膵臓や胆嚢の異常、ホルモンの異常、各種の感染症、腫瘍etc
このように両者とも原因は様々ですが、一般的に嘔吐や食欲不振などの他の症状がなければ大腸性の下痢の方が症状が軽い場合が多く治療も簡単なケースが多いです。一方小腸性の下痢は原因が複雑で診断・治療に時間がかかることがあります。大腸性の下痢なのか小腸性の下痢なのかを判断することは、必要な検査の選択、治療内容や予後を考えるときに大きな指針となります。

また、ウサギ、チンチラ、ハムスタ-、リス、ジリスなどのげっ歯類、普段あまり下痢をしない動物が下痢をしている場合は非常に危険な兆候です。一刻も早い処置が必要なことが多くあります。とくに若齢の動物は早目に動物病院を受診してください。

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No.122 熊本地震

 このたびの熊本県を中心とした群発の大地震に被災された方々と動物たちのご無事と、被災地の一刻も早い復興をお祈りします。

3月14日から10日間が経ちましたがその間に1000回に近い数の地震が来るなんて想像もできません。現地の方々のご苦労と不安は相当なものでしょう。人間が優先なのは仕方ないにせよ動物たちのことも気になります。

横浜市に在住の方でも、熊本県や周囲が地元だったりご親戚やお友達がいらっしゃる方は少なくないと思います。

できることから支援していこうと21日から受付に募金箱を設置させていただいております。すでに募金をして下さったかたもいらっしゃいます。ありがとうございます。

被災地の人々、動物たちが1日でも早く安心して暮らせる日常を取り戻せるように願っています。

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No.121 体表リンパ節の腫大 (Swelling of a lymph node)

リンパ節はリンパ液が流れる管が集まった場所で体の内外のあちこちにあります。主な役割はリンパ管の中を流れる病原体、毒素、老廃物などを取り除きリンパ液を濾過することです。また、骨髄で作られたリンパ球を一時的にストックして成熟させる働きもあります。リンパ節のうち体の表面にあって触ることができるものを体表リンパ節といいます。

主な体表リンパ節は、下顎リンパ節、浅頚リンパ節、腋窩リンパ節、鼠径リンパ節、膝窩リンパ節です。

下顎リンパ節以外は、よほど注意深く触らない限り、正常時はわかりません。これらの体表リンパ節が腫大した場合は、FNA(穿刺吸引細胞診)などによりリンパ節内の細胞を観察しどのような原因で腫れているのかを調べます。体表リンパ節腫大の主な原因は下記の4つです。
正常なリンパ節:成熟リンパ球が大多数を占め(70-90%)、比較的少数の中型のリンパ球やリンパ芽球(若いリンパ球)が混在する球集団として観察され、マクロファージ(単球から分化し老廃化した自己細胞を細胞内に取り込んで消化処理する働きと、ヘルパーT細胞へ微生物が体内に侵入してきたことを知らせる抗原提示の役割があります)や形質細胞(炎症細胞の代表選手で、液性免疫の主役である免疫グロブリン産生を担っています)も少数みられます。
1.反応性過形成:多数の形質細胞が認められる。炎症反応はみられない。
2.リンパ節炎: 5%以上の好中球や好酸球の増加。全身的な炎症反応の存在、元気、食欲の低下。リンパ節の疼痛が認められる。
3.リンパ腫:リンパ節内に中~大型のリンパ球(リンパ芽球)の割合が80%を超えて認められる。炎症細胞が存在することもある。
4.他の腫瘍のリンパ節転移:均一なリンパ球集団の中で小集塊を形成して、あるいは孤在性に存在し周囲の細胞とは異なって見える。

FNAなどの簡単な検査ではっきりしない場合は、手術によりリンパ節を摘出し組織生検を行います。

今回は難しい単語が多くなりましたが、簡単にまとめると

体表リンパ節の腫れを見つける→リンパ節に針を刺して中の細胞を調べる→はっきりしない場合は手術でそのリンパ節を取って調べる

という流れになります。体表リンパ節がはっきりと触れる場合、普段と違うなと感じた場合は早目にご相談くだ

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No.120 甘咬み (Bite at)

犬、猫、フェレットなどの若い個体では、遊びでじゃれつき甘咬みをすることがよくあります。力加減がわからない個体であったり興奮しすぎると、ヒトにとって痛かったり場合によっては怪我となる場合もあります。甘咬みの原因は母親や兄弟から早く離れさせられてしまい社会性が十分に養われていないことが主な原因といわれています。今回は甘咬みへの対処です。

まず基本は、力を入れて咬んだ瞬間に「痛いっ」と言って離れ、しばらく(1分程度)無視することです。これを繰り返し行い、力を入れて咬んではいけないということを学ばせます。よく言われている、咬まれたときに指や手を口の奥に突っ込むという方法は、まれに上手く行くこともありますが、より興奮してさらに激しく咬むようになり逆効果な場合が多いです。また、咬んできたときに叩くのはヒトの手を怖がるようになり、より攻撃性が増す場合があります。体罰は厳禁です。

単純な無視が効果的でないような場合には「痛いっ」と言ったあと別の部屋に行ってしまいましょう。そのときに、動物を残した部屋におもちゃなど興味を引く物を残さないことが重要です。飼主さんと遊べなくてつまらないと思わせることが大切です。別の部屋から戻ったら、また普通に接してください。また咬んで来た場合には同じことを根気よく繰り返します。

上記の方法でうまく行かない場合によくみられるのは長時間のお留守番をさせている場合です。まだ幼い動物にとって6時間以上を1匹で孤独に過ごすことは非常に過酷なことで、エネルギーも発散できず大きなストレスとなります。ご親戚やお友達、ペットシッターさんなどに協力してもらい、長い時間の孤独を与えないようにしましょう。小さいうちは咬むことが好きなものです。遊ぶ時間やお散歩の時間を増やしてストレスを発散させることも重要です。

繰り返し根気よく愛情を持って、「痛いっ」→無視を行ってください。そして長時間の孤独を与えないようにしてください。

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No.119 テフロン (Teflon)

テフロンは商品名で、ポリテトラフルオルオエチレン(PTFE)というフッ素樹脂です。テフロン加工された調理器は摩擦係数が低く、焦げ付き辛いのが特徴で、物質自体の安定性もあり、水、酸、熱などにも強いので、フライパン、炊飯器、鍋など調理器具によく使われています。しかし、このテフロンが生体に対して毒になる場合があることがあり、テフロン中毒、フッ素中毒などと呼ばれています。

ヒトの場合のテフロン中毒はフライパンを火にかけながら居眠りをしてしまった場合などに起こります。PTFEは高温約400℃になると、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、プロペン、フロロメタン、ブテンなどのさまざまな有毒ガスを発生します。400℃というのは火力にもよりますが、フライパンを5分加熱すると到達できる温度です。これらのガスは目に見えず臭いもほとんどありません。これらを吸引するとヒトでは数時間後に、呼吸困難、めまい、吐き気、頭痛など、ポリマーヒューム熱というインフルエンザのような症状を起こすことが知られています。通常は適切な治療で回復しますが、放置すると肺水腫となり死亡例もあります。

動物ではとりわけ、セキセイインコ、文鳥などの小鳥に事故が多いです(犬の報告例もあります)。鳥類は肺のガス交換の効率が良いため、一般的にガス毒に感受性が高く、PTFEの発生するガスにたいしても重篤な症状を示します。症状は呼吸困難で肺の出血と浮腫が起こります。肺が溶けているような病理所見がみられます。

テフロン加工製品はきちんと使用すれば便利なものだと思います。しかし、小鳥を飼っている方は、調理中は同じ部屋に入れないなど、十分な注意をして下さい。

 

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No.118 第15回 飼主様向けセミナー

昨日、横浜ベイシェラトンホテルで、麻酔・鎮痛の専門医の長濱正太郎先生をお迎えして、15回目の飼主様向けセミナーを行いました。ご参加いただいた皆様方、本当にありがとうございました。

講演にもあったように、現在の全身麻酔は動物においてもバランス麻酔が行われています。麻薬なども含む鎮痛薬はじめ様々な薬、局所麻酔・硬膜外麻酔なども併用して、実際の麻酔薬をできるだけ減らし、血圧低下などの麻酔リスクを最小限にしていることがおわかりになっていただけたかと思います。

アンケートの中に、長濱先生に麻酔医をやってもらっての当院での手術は可能か?というご質問がありました。麻酔科に限らず、軟部外科・整形外科・内科・循環器科・脳神経科・眼科・皮膚科・腫瘍科・エキゾチック・臨床病理・画像診断・などの各専門医の先生とのコラボレーションは可能です。ご希望の方はご相談ください。

他の分野と同じように麻酔科学も日進月歩です。これからも、どんどん良い薬、良い方法が出てくると思います。当院でも麻酔リスクを少しでも減らせるように精進したいと考えております。

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No.117 全身麻酔 (General anesthesia)

動物を診療する上で全身麻酔をかけなければならない場面はヒトの場合よりも多くあります。各種の手術はもちろん、ヒトでは通常全身麻酔なしでできる、歯石の除去や抜歯などの歯科の治療、内視鏡、CTやMRIの画像の検査。レントゲン撮影も場合によっては全身麻酔が必要です。今回は全身麻酔の流れについてご説明します。

動物に全身麻酔をかけるときの第一歩は、その動物に対して安全に麻酔がかけられるかどうかを判断することです。身体一般検査のほか、通常、血液検査、レントゲン検査などを行います。動物が高齢の場合や持病がある場合などは、超音波検査、血圧測定、心電図、その他の検査をする場合もあります。これらを術前検査といいます。
術前検査の結果をふまえ、手術において予想される侵襲の度合いや、興奮しやすい、ひどく臆病などの動物の性格なども考慮します。これらの情報を総合してリスク評価を行い麻酔プランをたてます。

実際の全身麻酔の流れは、
・準備:点滴、酸素化など
・前投与:心臓を守るための副交感神経遮断剤、鎮静剤、鎮痛剤などの投与
・導入:麻酔薬の静脈注射、マスクや麻酔BOXで導入し、気管tubeなどを挿管。局所麻酔薬の投与
・維持:吸入麻酔薬、麻酔薬の持続点滴で維持。鎮痛剤の投与
・覚醒:気管tubeなどの抜管、鎮痛剤、拮抗薬の投与
・術後管理
簡単にいえば上記のような流れになります。

導入時からは麻酔管理を行います。麻酔管理には2つの大きな目的があります。
1.術中・術後の痛みを取り除く
2.手術時の危険から命を守る
この目的のために、血圧・脈拍・心電図・呼吸数・体温・尿量・意識・血中酸素濃度、呼気時の二酸化炭素濃度などを測定・記録します。これをチャートと呼びます。

麻酔科学が発達した今でも、術中は大きな危険が潜んでいます。除痛と同じく「命を守る」働きが欠かせません。アメリカの大きな動物病院の統計では、犬猫における術前検査で全身麻酔をしても大丈夫だと判断して麻酔を行った場合の麻酔事故は1/1000だったそうです。

現在では、「安全」、「快適」、「確実」といった言葉が当然のように麻酔にも投げかけられています。当院でも日々そうした目標に近づくべく努力しています。

今年の飼主様向けセミナーは、麻酔・鎮痛の専門医の長濱正太郎先生をお迎えしての麻酔のお話です。参加ご希望の方は締め切りがせまってますのでお早目にお申込みください。


麻酔器と麻酔モニター

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