No.328 尿石症:腎・尿管・膀胱・尿道結石

腎臓・尿管・膀胱・尿道の尿路系に結石ができることを尿石症といいます。結石がどこに形成されるかによって名称が異なり、腎臓にできれば腎結石、膀胱と腎臓をつなぐ尿管内にできれば尿管結石(→No158猫の尿管結石)、膀胱内にできれば膀胱結石、尿道内にできれば尿道結石と呼びます。結石の種類にはいくつかあり、ストラバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、シスチンが代表的ですが、これらが混合してできる場合もあります。犬猫だけでなく、どの動物種でも起こる可能性があります。

多くは遺伝的な素因が原因となりますが、活動性の低下や肥満、栄養摂取、飲水量にも関連していると考えられています。また尿路感染症や副腎機能亢進症、門脈体循環シャントなど多くの病気とも関連性が知られており、特に尿路感染症は併発していることが多いです。また尿道結石の場合、ほとんどがオス犬やオス猫で見られます。これはオスの方がメスよりも尿道が細いため、結石が尿道につまりやすいためです。

尿石症における主な症状は、血尿や排尿痛、排尿困難など排尿に関わる問題が挙げられます。しかし腎結石や尿管結石などの場合は特定の症状として見られることは少なく、状況によって元気食欲の低下や発熱、腎障害などが見られることがあります。「おしっこが出ない」「何度もトイレに行く」「排尿時に変な鳴き声をする」「血尿がでる」といった症状があれば膀胱結石や尿道結石などの可能性があります。「食欲がない」「元気がない」「お腹を痛そうに丸めている」といった症状は他の病気にも当てはまりますが、尿管結石などによる腹痛や腎結石の可能性も考えられます。無症状のこともあるので注意が必要です。

診断は、症状、尿検査、画像検査、血液検査によって行います。尿検査では、尿中に結石の成分である結晶や細菌感染、炎症の有無などを見ることができます。特に膀胱結石や尿道結石などの下部尿路の結石は見つけやすいです。画像検査では、腹部のレントゲン検査や超音波検査を行うことで、腎臓、尿管、膀胱、尿道内のどこに結石が存在するのかを判断することができます。血液検査では、結石によって腎不全や炎症、感染などを引き起こしていないか、他の病気が隠れていないかを評価することができるため、全身状態の把握を行うことが可能です。

結石の存在する場所によって治療法が異なりますが、多くは結石を外科的に摘出する必要があります。ただし、ストラバイト結石などは大きさにより、食事療法による内科治療で結石を溶かすことができることもあります。そのため結石の種類を同定することは重要です。どんな結石の場合も食事療法の併用が重要となります。腎結石の場合は、症状や悪影響を認めない限り、食事療法のみで経過観察を行うことも多いです。尿管結石の場合は、腎不全を引き起こし命に関わることもありますので、内科的治療への反応が悪ければ、早期の外科治療が必要です。膀胱結石の場合は結石の大きさや症状によって外科的に摘出する場合と経過観察をする場合があります。尿道結石の場合は、尿が出なくなっている場合が多いので、緊急の処置が必要です。

予防は水分をしっかり取ること、尿を我慢させないこと、食事の見直し、定期的な健康診断です。


犬の膀胱結石