アロペシアX(脱毛症X)は、毛周期停止による原因不明の非炎症性・非掻痒性脱毛症です。特にポメラニアン、トイプードル、シベリアンハスキー、チワワ、パピヨンなどの特定犬種で好発し、遺伝的素因。ホルモン関連が疑われるが確定機序は未解明です。基本的には生命に影響することは少ないです。
アロペシアXは2~6歳の若齢犬での発症が最も多く、特にポメラニアンにおいては以下の特徴を持つ個体で発症リスクが高いことが報告されています。
・マズルが短いベビーフェイス、タヌキ顔
・3kg以下の小柄な体格
・2歳未満での早期発症
・食事への関心が低い傾向
・肝臓や胆嚢疾患の既往歴
初期症状として首周りや太ももの裏側から脱毛が始まり、最終的には頭部と四肢を除く体幹部全体に左右対称性の脱毛が進行します。この特徴的な分布パターンは診断の重要な手がかりとなります。脱毛の進行速度には個体差があり、1年かけて徐々に進行するケースから数ヶ月で完成するケースまで様々です。トリミングで毛を刈ったら生えないとして、見つかるケースもあります。四肢には毛が残ります。
アロペシアXの特徴として痒みを伴わないことが挙げられますが、以下の症状も観察されることがあります。
・皮膚の色素沈着(メラニン沈着)
・ドライスキン(乾燥肌)
・皮膚バリア機能低下による膿皮症の併発
・被毛の質感変化(ぼそぼそした毛質)
・左右対称脱毛
アロペシアXは除外診断が必要で、
・クッシング症候群
・甲状腺機能低下症
・性ホルモン異常
・慢性皮膚炎(軽度でも)
・季節性側腹部脱毛症
・皮膚筋炎、脂腺炎
などを、臨床検査によって除外します。状況によっては皮膚生検が必要な場合もあります。
治療は原因が完全に解明されていないため、複数のアプローチを組み合わせた多角的治療が基本となります。治療効果には個体差が大きく、長期間の継続的管理が必要です。状態に応じて、
・メラトニン(3mg、1日2回投与)
・レベチラセタム(甲状腺ホルモン補充)
・ミルタザピン(食欲増進効果)
・トリロスタン(副腎ホルモン調整)
上記のホルモン調整剤を単独、または組み合わせて使用します。去勢や不妊手術が行われていない場合は積極的に行う事が推奨されます。治療効果の発現には最短3ヶ月、平均6ヶ月を要し、症例によっては1年以上の治療継続が必要です。副作用として肝機能障害のリスクがあるため、定期的な血液検査によるモニターが重要です。







