No.483 小鳥の多飲多尿

多飲多尿は鳥類の診療においてしばしば遭遇する症状の1つです。鳥の尿には水分尿と尿酸の2つがありますが、ここで言う多尿とは水分尿が多いことです。鳥は尿と糞便を同時に排泄するため、排泄された水分が全て純粋な尿とは限りません。 下痢の場合には、腸管から分泌された水分が排泄されることもあり、多尿の多くは下痢と勘違いされています。実際に下痢の場合もありますが、多飲多尿の時の便は形状を保っており、その周囲に浸み込む水分が多い状態です。鳥の正確な尿量を測定することは困難なため多尿の定義は不確定ですが、体重の20%以上の水を飲み便の周囲に1cm異常の水分が浸み込んでいれば多尿と判断します。

小鳥の多飲多尿の原因は様々ですが、主に生理的な原因と病的な原因に分けられます。

生理的な原因
・換羽期:換羽期は甲状腺ホルモンが多量に分泌されるため代謝率が増加し、肝臓においてタンパク質合成が盛んに行われることの結果として多尿となります。
・雌の繁殖期:発情期はエストロジェンの影響で血中Caが増加し、多尿が引き起こされます。また産卵のためCaや水分摂取量が増加し多量の代謝水が産生されます。肝臓においてもタンパク質の合成が盛んに行われ、その結果多尿となります。
・食事:ペレット食、野菜・果物の多給
・その他:興奮やストレス、高温多湿環境など

病的な原因
・腎臓病:糸球体腎炎、感染性腎炎、腎腫瘍、痛風、高Ca、腎リピドーシス
・肝臓病:肝炎、肝リピドーシス、肝腫瘍
・糖尿病
・ビタミン異常:ビタミンD過剰症、ビタミン欠乏症
・その他:下垂体腫瘍、・二次性副甲状腺機能亢進症、敗血症など

診断は、生活環境、身体検査、糞便検査、レントゲン検査、血液検査などを実施して総合的に判断します。しかし小鳥では血液検査が難しい場合も多く、必ずしも確定診断が可能なわけではありません。現実的には仮診断をして、治療的診断を行っていく場合がほとんどです。

多飲多尿の原因が生理的な場合には基本的に治療は必要ありません。病的理由の場合にはその病態に応じた治療を行います。

小鳥でも多飲多尿は注意です

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