No.485 動物の受動喫煙

タバコの煙は、肺の中に吸入される主流煙と、火のついた先端から立ち上る副流煙があります。有害物質は副流煙の方が多いと言われています。受動喫煙は、吐き出された主流煙と副流煙が混ざったものに触れる事と定義されています。副流煙のない電子タバコも無害ではありません。受動喫煙でタバコを吸わない動物の健康に害を及ぼすことがあります。

動物が受動喫煙にさらされると様々な病気になりやすい事が分かっています。厚生労働省によると、副流煙の有害物質は主流煙よりも、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍も多くなります。また発癌性のある化学物質のベンゾピレン、ニトロソアミンなどもあります。動物はこれらを小さい体の中に取り込むことになります。

また、3次喫煙という言葉をご存知でしょうか。これはタバコの副流煙が衣服や壁、カーテン、絨毯、ヒトの髪の毛などに付着して、その残留物が再び直接・間接的に被害をもたらすというものです。ペットの前でタバコを吸わなくても、喫煙者の服や髪にタバコの副流煙が付いています。抱っこされることで、動物の被毛に付いたり舐める事で、口からタバコの成分が体内に入っていきます。

自宅に空気清浄機があるから大丈夫、換気扇の下なら大丈夫と考えている方もいるかもしれません。空気清浄機は粒子状物質を除去できますが、ガス状物質は全て除去できません。換気扇にはたいした効果が無い事が分かっています。

動物は自分で毛づくろいします(とくに猫は懸命にします)。そのため、動物の前で喫煙しなくても飼主さんの体や毛に付いている副流煙で被害が起こります。

受動喫煙による主な疾患は、喘息、眼の疾患、アレルギー、肺、口腔内や鼻腔内の悪性腫瘍(とくにリンパ腫)です。

また、タバコのポイ捨てをする人たちがいます。水たまりに投げ捨てられるとたばこは溶け出し、水溶性のニコチンを多く流出します。外にいる猫は外の水がその水を飲んでしまうと中毒を引き起こす場合があります。


様々なタバコによる害に注意しましょう

こちらもご参照下さい
No.420 猫の原発性肝臓癌
No.408 ニコチン中毒
No.202 リンパ腫 (Lymphoma)