No.356 猫の口内炎

一般的に、口腔内にみられる炎症病変はなんでも口内炎と呼ばれていますが、正しくは『口内炎は原因が局所的によるものと全身的によるものがあり、頬粘膜、口唇粘膜、口蓋、舌、口腔底、頬粘膜、歯肉に及ぶ口腔粘膜の炎症』と定義されています。猫には口腔炎が多くみられますが、口を開けるのを嫌がる場合が多いため、症状がかなり進行してしまってから発見されることが多いです。

口を開けて、歯肉や他の部位の粘膜が赤くただれていたり、腫れたように盛り上がったり、あるいは出血していれば口内炎の可能性があります。他にも口内炎を疑う症状としては、口が臭い、よだれが出る、食べるときに痛がるなどがあります。

口内炎では、口の中の一部が赤くなっているだけのものから、組織がカリフラワーのように盛り上がったもの、潰瘍になっているものなど様々な形がみられます。多くの場合、直接の原因は細菌感染ですが、本質的な原因としては免疫力の低下が考えられます。また歯が当たるところにできたものは歯を抜くことで治る場合があります。

特殊なものでは、急性の潰瘍が口の中や舌にできるものがありますが、これはカリシウイルス感染によるもので、通常は1週間位で治ります。ワクチンを接種してあれば起こる可能性は少ないです。また、好酸球性肉芽腫症候群では、唇が潰瘍になったり、舌に腫瘤ができることがあります。これらはノミや食事、その他に対するアレルギーが原因と考えられているので、それらに対する治療を行います。老猫では口の中に扁平上皮癌などの悪性腫瘍ができて、これが口内炎にみえることもあるので注意が必要です。

治療法は原因にもよりますが、歯石を取るなど口腔内を清潔に保つこと、細菌と炎症のコントロールです。慢性化したものではかなり治療が難しい場合があります。他の疾患と同様に予防と早期発見が重要です。子猫のころから口を開けること、あるいは歯磨きに慣らしておけば、予防にも早期発見にも役立ちます。


好酸球性肉芽腫