Np.208 難産(Difficult delivery)

日本人にとっては犬は安産だという認識があると思いますが、現代では都市伝説です。従来日本にいた犬種は比較的体が大きく(小型犬とされる柴犬でも5kg以上)、体型もお産に適していました。パグやブルドッグ、シーズーなどの短頭種、チワワやティーカップ・プードルなどの超小型犬種については、母犬の産道に比べて赤ちゃんの頭が大きく、難産になることがしばしばあります。また、胎児が病気だったり、お母さんが体調を崩していても難産になることがあります。

一般的に以下に当てはまる場合は、帝王切開になる場合があります。
・短頭種、超小型犬種
・予定日から10日過ぎても生まれない
・直腸温の低下後、24時間経過しても陣痛が起こらない
・強い陣痛が30分以上あるが産まれない。
・微弱で休息期の長い陣痛が4~6時間続く
・緑色の液体排出(胎盤剥離の徴候)
・二次破水から1時間たっても産まれない
・母犬が激しい痛みを示している

動物の帝王切開はヒトと違って全身麻酔が必要になり、リスクが伴います。麻酔薬が胎盤を通って赤ちゃんの体や脳に入るため、赤ちゃんはスリーピングベイビーと呼ばれる眠った状態、もしくは呼吸が弱くなって生まれてくる場合がほとんどです。母親や胎児の状態が悪くならないうちに適切に判断して行うことが必要です。