No.304 糖尿病 (Diabetes)

糖尿病は、血糖値(血中のブドウ糖濃度)を下げるように調節するインスリンの分泌不足や作用不足により高血糖状態が持続し、多飲多尿・脱水・体重減少・白内障(犬)・サルコペニア(→No288サルコペニア)・後肢の虚弱・末期には糖尿病性ケトアシドーシスによる食欲不振・元気消失・衰弱や死亡を引き起こす病気です。犬も猫も中~高齢で多く発症します。

糖尿病で受診される方の主訴で一番多いのは「水をよく飲むようになり、痩せてきた」というものです。犬も猫も糖尿病になるとほぼ全例で多飲多尿が見られます。多飲多尿とは、これまでより多量に水を飲むようになり、尿量も増え、色が薄くなるような症状です。犬では肥満、クッシング症候群(→No.79 犬の副腎皮質機能亢進症)、未不妊雌の黄体期、膵炎(→No189膵炎)。猫では肥満、高脂血症、甲状腺機能亢進症(→No.78 猫の甲状腺機能亢進症)、尿路感染症、歯周病(→No97歯周病1→No98歯周病2)、末端巨大症、グルココルチコイド製剤などが糖尿病の基礎疾患になり得ることが明らかになってきています。

症状が多飲多尿だけの状態で見つかれば治療もスムーズに始められますが、そのまま放っておくとゴハンは沢山食べる割にどんどん体重が落ちていき、元気もなくなりグッタリするようになってしまいます。元気が無いような糖尿病の子に関しては通常入院での集中治療が必要となりますので、多飲多尿が気になったらなるべく早めに(元気なうちに)受診するようにしてください。

血液検査により血糖値の上昇を確認、尿検査で尿糖陽性を確認、基本的にはこれで糖尿病の診断はできる場合が多いです。あとは状態に応じて基礎疾患、合併症、現在の全身状態を把握するための検査を行って、重症度に応じて治療を組み立てていきます。

治療は食事療法と注射によるインスリン補充療法が主体となります。治療当初はインスリンの必要量を調べるのに数時間毎の血糖値測定が必要となりますので基本的には数日入院しての治療となります。ある程度のインスリン量が決まった時点で在宅でのインスリン注射を飼い主さんにしていただく形で通院治療に移行となります。

糖尿病は、ヒトではよく1型、2型といいますが、日本人の約95%は2型の糖尿病と言われています。2型糖尿病は 遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・運動不足・ストレスなどをきっかけに発病します。インスリンの効果が出にくくなったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。生活習慣の見直しを行うと改善したり、インスリン注射が必須ではありません。残りの5%の1型糖尿病は膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまいます。インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン注射を欠かせません。1型は子供や若い人に多く、2型は中高年に発症することが多い病気です。猫の8割は2型糖尿病と言われています。犬はどちらの型だか不明なことが多いようです。ほとんどは猫や日本人と同じように2型から発症したものと推測されるようですが、実際犬が具合が悪くなって病院に来る頃には病状が進んでいるため、1型と同じようにインスリン注射が治療には欠かせない場合が多いです。

糖尿病という病気は進行具合によって必要な入院日数や治療内容、救命率、当然ながら治療費に関してもかなりの差が出ます。多飲多尿は様々な病気のサインとしてとても重要な症状です、おかしいなと思ったらまずはご相談ください。


インシュリンと専用注射器