No.298 NT-proBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)

心臓を評価する血液検査はあまり良いものがありませんでしたが、近年、NT-proBNP という、心臓の異常を確認する血液マーカーがよく用いられます。NT-proBNPはBNPという物質がつくられるときに同時に合成される副産物です。BNPは心室壁から放出されるホルモンで、血圧を下げて心臓への負荷を減らす効果があります。心疾患が進行するとこのBNPが大量に放出されます。すなわち、NT-proBNPが高値 → BNPが高値 → 心疾患が進行している。となります。NT-proBNPの参考基準値は犬で900pmol/L以下、猫で100pmol/L以下です(ヒトでは400 pmol/L以下が目安です)。高いか低いかだけになりますが、現在、猫では院内で迅速に検査が可能です。犬は外注になります。

NT-proBNPは、心雑音が聴取される、心疾患になりやすい品種、元気や食欲が不安定、高齢、咳をしたり苦しそうにすることがある、などという場合に検査項目に含めます。とくに猫ちゃんでは心臓病があっても心雑音が聞こえないこともあり、健康そうに見える猫のうち16%に、この検査によって心臓病が発見されたというアメリカの報告があります。

もちろん、NT-proBNPだけで心疾患や心不全の有る無しは判断できません。品種、年齢、既往症、レントゲン検査、超音波検査や心電図、血圧測定や他の血液検査などを併せて総合的に診断します。早期発見のためには定期健診が重要です。


NT-proBNPの院内キット