No.382 皮膚のしこり(結節)2

しこり(結節)やコブは多くの場合、皮膚の増生(過形成)または炎症性の病変を含むタイプと腫瘍に分けることができます。

皮膚の増生や炎症性病変
皮膚の増生は、細胞が増えることで組織が周囲の皮膚から突き出た良性(非腫瘍性)のしこりを言います。また、炎症性病変とは細菌などに感染して皮膚が腫れたり、それが慢性化して硬くなったりするものを指します。比較的多く見られる病変には以下のようなものがあります。

膿瘍:咬傷、創傷または異物からの感染の結果として形成されるしこりです。痛みを伴うことが多く、大量の血液と膿を含んでいることがあり、破裂することもあります。

アポクリン嚢胞:皮膚腺の1つであるアポクリン腺が詰まってできる嚢胞です。ヒトのにきびのようなものと考えてください。これも破裂することがあります。

毛包嚢胞:毛包組織由来の非腫瘍性の嚢胞性病変です。通常であれば表皮の毛穴の部分から体の外に向かって毛は生えますが、毛包を含む嚢胞が皮内で破裂し炎症を起こし、皮内に膿や被毛が貯留したものです。

血腫:外傷後に皮膚の下に血液が溜まったときに起こります。痛みを引き起こすことがあります。

注射部位反応:注射後に皮膚の下に小さなしこりができることがあります。これは圧痛があることがありますが、多くは2~3日から数週間で消失します。

蕁麻疹、その他のアレルギー反応:蕁麻疹はアレルギー反応から生じる痒みのある腫れた皮膚の膨らみです。これ以外にもアレルギー反応からさまざまなタイプのしこりが生じることがあります。

皮膚腫瘍のタイプ
腫瘍とは、異常な細胞が蓄積して形成される組織の塊で、良性腫瘍と悪性腫瘍があります。 腫瘍という言葉は、飼主さんが耳にすることのある病名のうち恐れられている単語の1つですが、すべての腫瘍が悪性とは限りませんし、また、たとえ悪性腫瘍であったとしても治療ができないわけではありません。よくある腫瘍の種類について知っておきましょう。

組織球腫:比較的若い犬の頭部、耳介、脚に生じることが多い、小さくて硬いドーム形の良性腫瘍です。治療しなくてもしばしば自然に退縮します。

脂肪腫:過体重の犬で多く、脂肪細胞が集まってできた軟らかくて平滑な良性腫瘍です。多くは胸部、腹部、前脚に発生します。ゆっくりですが非常に大きく成長し、場所によって歩行障害や圧迫等が問題になるケースもあります。

脂腺種:皮脂(皮膚を滑らかにする脂性物質)を分泌する腺やその周囲の細胞が増殖したときに形成されます。良性腫瘍で、しばしば犬の頭部や、脚、胴体、まぶたに疣状に発生します。

形質細胞腫:中齢~高齢犬の体幹および四肢の皮膚や粘膜皮膚に多く発生します。そのほとんどは孤立性でピンク色~赤色の隆起したしこりとして認められます2~5%は多発性と言われています。

悪性皮膚腫瘍:癌性の腫瘍のことで、自然に治癒することのない皮膚上の目立ったしこり、または痛みを伴う病変として現れます。早期発見、早期治療が大事です。


犬のパットの皮膚形質細胞腫

こちらもご参照下さい
No381皮膚のしこり(結節)1
No296生検
No215犬の皮膚腫瘤