No.428 日光浴

日光浴は、日光に含まれる紫外線を吸収することが目的ですが、紫外線ときくと、近年では、日焼けやシミそばかすを気にして、できるだけ日に当たらないようにする方も多くいらっしゃると思います。紫外線は長時間当たりすぎると有害ですが、適度にお日様を浴びることは動物にとっても様々な良い効果をもたらします。

動物は紫外線が足りないとビタミンDが不足して、カルシウムの吸収がスムーズにいかなくなります。そのため、骨や歯の生成に影響が出てしまう成長障害や、骨軟化症が起きて骨が柔らかくなり、骨が変形する病気にかかることもあります。ビタミンDは免疫力を高めることを補助したり、カルシウムの吸収を助ける役割をします。動物は被毛に覆われているので、ヒトほどではないですが、日光浴の効果で皮膚からビタミンDを作ることができます。

日光浴の大きな効果の1つは気分転換です。眠る時間が多くなっている高齢動物などは、昼間に寝すぎると昼夜が逆転し生活のリズムが崩れてしまいます。認知症気味の老犬が夜眠れずに徘徊し夜鳴きをすると、飼主さんの生活にも大きな支障がでてしまいます。適度な散歩や日光浴を利用して気分転換をさせるのがおすすめです。日光浴はホルモンバランスを保つために効果的で、目が光を感じると脳内のセロトニンというホルモンの分泌が活発になり、体内時計の改善や、精神的に落ち着くなど、自律神経にも良い効果が表れます。このセロトニンが分泌されると、眠りを司る睡眠ホルモンのメラトニンが生成され、夜の眠りも深くなるといわれています。日光浴によって五感が刺激され、気持ちも落ち着いていきます。とくに高齢動物には朝の日光浴がオススメです。

また、日光浴は皮膚病予防の効果もあります。紫外線には殺菌効果があり、適度に日光を浴びることで最近や真菌から皮膚を守ります。

日光浴は散歩に出かけなくても自宅でもできます。老犬でもしっかり歩けるなら、散歩に出かけ、外の空気を吸ってお日様を浴びることをお勧めしますが、足腰が弱ってる場合は、庭やベランダ、リビングの窓際で日光浴をしましょう。長時間でなく、15分~30分程度で十分です。窓際での日光浴は、紫外線を遮断する遮光カーテンやUVカット加工されたカーテン越しだと効果が半減するのでカーテンを開けて行いましょう。暑すぎると熱中症の心配がありますから、自分で動けない場合は必ず飼主さんが注意してあげてください。また、真夏の直射日光は危険なので日差しの強さには十分注意しましょう。

一緒にのんびりとした時間を過ごす日光浴は、動物と語り合える貴重な時間になるかもしれません。1日のうちわずかな時間でも日光浴を楽しんでみてはいかがでしょうか。


日光浴をしているライオン(富士サファリパーク)

こちらもご参照ください
No.323 代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease:MBD)