No.186 AIM(Apoptosis inhibitor of macrophage;CD5L)

東京大学の宮崎徹教授が発見し、教授のチームが研究している、血液中のタンパク質AIMは、現在では治療の難しい、腎不全、肥満、脂肪肝、肝硬変、糖尿病、動脈硬化、自己免疫性疾患、各種の癌、認知症などの様々な難治性疾患に対してとても効果的な治療が行える可能性が高いと期待されています。

AIMは、体の中で血液細胞の一種であるマクロファージだけが特異的に産生する分泌タンパク質で、マクロファージで作られた後いったん血液中に出ます。ヒトでは通常1ml当たり5~10μgぐらいの AIMを血中に持っています(全ての哺乳類はAIMを持っています)。AIMの機能について最初に発見されたのが、マクロファージ自身のアポトーシス(遺伝子にプログラムされた細胞死)を抑制して細胞を長生きさせるというものでした。そのため Apoptosis Inhibitor of Macrophage (AIM)と名付けられました(CD5Lと呼ばれることもあります)。

AIMはヒトや動物のIgMとくっついていて、体内で障害が起こると出動します(宮崎教授はIgMを航空母艦、AIMを戦闘機と例えていらっしゃいます)。AIMはヒトや動物の体内に起こった有害な免疫反応をきれいに掃除してくれます。ヒトを含め動物の体はAIMにより守られていて、生まれつきAIMが少ない場合、また、充分に持っていてもIgMからAIMが出動できない場合(ネコ科の動物はこのタイプのようです)。などに上記の難治性の病気が起こると宮崎教授のチームは考えています。

今年の飼主様向けセミナーに出席していただいた方の中には覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、私が癌にならない動物として紹介したハダカデバネズミは特殊なAIMを持っているそうです。

AIM凄いです。ヒトが120歳、犬や猫が30歳まで生きる時代が来るかもしれません。早く実用化して欲しいです。


ハダカデバネズミ