No.374 下剤

下剤はヒトでは多くの種類が薬局で売られています。動物では特に猫で便秘が問題になります。下剤の種類は大きく分けて、浸透圧性下剤、刺激性下剤、新しい下剤、漢方薬に分けられます。

浸透圧性下剤
マグネシウムやポリエチレングリコールは、大腸内で浸透圧維持のため腸壁から水分を奪い便を軟化することにより排便を容易にします。浸透圧性下剤はこの性質を利用して便の水分を増やし軟らかくし、排便がスムーズに行われるようにします。安全に使用できる下剤です。

刺激性下剤
大腸の腸内細菌によって大腸を刺激し蠕動を促進するタイプの下剤です。弛緩性便秘に向きます。良く効きますが、依存と耐性の問題があるので毎日使わないことが望ましいです。 ヒトでは大腸メラノーシス(大腸の黒化)の問題があります。

新しい下剤

・胆汁酸トランスポーター阻害剤(エロビキシバット水和物)
胆汁酸の体内への吸収を抑制します。蠕動や老廃物の排出にかかせない胆汁酸の不足は便秘を引き起こします。胆汁酸は食物の消化・吸収のため腸管内で働いた後、肝臓に吸収されれますが、この吸収を抑制することで腸管内の胆汁酸を増やし腸の働きを改善します。腸の蠕動を整えるイメージです。副作用は少なく妊娠中でも使用可能です(ヒト)。

・上皮機能変容薬(クロライドチャンネルアクチベーター)
小腸の粘膜上皮に作用し、腸管内への水分の分泌を増やす効果を利用しています。習慣性がみられず、副作用は少ないですが、ヒトでは、めまい、吐き気や嘔吐が報告されています。妊娠中は試用できません。

・グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト 腸管上皮細胞表面に存在するグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体に作用し、腸管内への水分分泌を促進することにより便通を改善します。また、求心性神経の痛覚過敏を改善することにより、腹痛・腹部不快感を改善します。

漢方薬
麻子仁丸(ましにがん)
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
大柴胡湯(タイサイコトウ)
潤腸湯(じゅんちょうとう)等

一般的な下剤の使用時の注意は、
・便秘の原因を考えた処方
・用量や回数は個体差がある
・浸透圧性下剤→刺激性下剤の順で使用
・刺激性下剤を漫然と使用しない
・食事用法や運動も重要
などです。

新しい下剤は動物での報告が少なく、これから情報が増えてくると考えられます。漢方薬は量が多くなりがちで、動物に使うのが難しい場合が多いです。また、猫やフェレットに使用する場合は肝臓での薬の代謝がヒトとかなり違うので(グルクロン酸抱合がない)、新薬、漢方薬はとくに注意が必要です。

こちらもご参照下さい
No271猫の便秘