No.121 体表リンパ節の腫大 (Swelling of a lymph node)

リンパ節はリンパ液が流れる管が集まった場所で体の内外のあちこちにあります。主な役割はリンパ管の中を流れる病原体、毒素、老廃物などを取り除きリンパ液を濾過することです。また、骨髄で作られたリンパ球を一時的にストックして成熟させる働きもあります。リンパ節のうち体の表面にあって触ることができるものを体表リンパ節といいます。

主な体表リンパ節は、下顎リンパ節、浅頚リンパ節、腋窩リンパ節、鼠径リンパ節、膝窩リンパ節です。

下顎リンパ節以外は、よほど注意深く触らない限り、正常時はわかりません。これらの体表リンパ節が腫大した場合は、FNA(穿刺吸引細胞診)などによりリンパ節内の細胞を観察しどのような原因で腫れているのかを調べます。体表リンパ節腫大の主な原因は下記の4つです。
正常なリンパ節:成熟リンパ球が大多数を占め(70-90%)、比較的少数の中型のリンパ球やリンパ芽球(若いリンパ球)が混在する球集団として観察され、マクロファージ(単球から分化し老廃化した自己細胞を細胞内に取り込んで消化処理する働きと、ヘルパーT細胞へ微生物が体内に侵入してきたことを知らせる抗原提示の役割があります)や形質細胞(炎症細胞の代表選手で、液性免疫の主役である免疫グロブリン産生を担っています)も少数みられます。
1.反応性過形成:多数の形質細胞が認められる。炎症反応はみられない。
2.リンパ節炎: 5%以上の好中球や好酸球の増加。全身的な炎症反応の存在、元気、食欲の低下。リンパ節の疼痛が認められる。
3.リンパ腫:リンパ節内に中~大型のリンパ球(リンパ芽球)の割合が80%を超えて認められる。炎症細胞が存在することもある。
4.他の腫瘍のリンパ節転移:均一なリンパ球集団の中で小集塊を形成して、あるいは孤在性に存在し周囲の細胞とは異なって見える。

FNAなどの簡単な検査ではっきりしない場合は、手術によりリンパ節を摘出し組織生検を行います。

今回は難しい単語が多くなりましたが、簡単にまとめると

体表リンパ節の腫れを見つける→リンパ節に針を刺して中の細胞を調べる→はっきりしない場合は手術でそのリンパ節を取って調べる

という流れになります。体表リンパ節がはっきりと触れる場合、普段と違うなと感じた場合は早目にご相談くだ