No.74 シャンプー後のトラブル(グルーミング後毛包炎)

『シャンプーの間隔は、どのくらいが良いですか?』よく受ける質問の1つです。シャンプーの間隔は、動物の種類・品種、年齢、健康状態、短毛か長毛か、皮膚の状態、シャンプーの目的、使用するシャンプーの種類、季節、動物がシャンプーを好きかどうか、飼主さんの都合などによって異なりますが、大まかな目安として、健康な犬の場合は、暑い時期で週に1度くらい、涼しい時期で2週に1度くらい、健康な猫の場合は、季節を問わず月に1度くらいをお勧めしています。

自宅でシャンプー・グルーミングをやっていただくことは、動物の健康管理にも非常に良いことですが、最近、グルーミング後毛包炎と呼ばれる、シャンプー・グルーミングの後のトラブルをよく診ます。毛包炎とは、毛包(毛穴)に炎症が起こっている状態を言います、感染症(細菌、真菌、ニキビダニ)はじめ、様々な原因で起こります。

動物の毛は、頭→尾、体幹→肢先、といったような毛の流れを持っています。シャンプー・グルーミング時に、この流れに逆らって、激しくブラッシングをしたり、強くゴシゴシ洗ってしてしまったりすると、毛穴の中で毛が激しく動いたり、毛が折れてしまったりして、毛穴の壁が傷つきます。その傷ついた毛穴の壁にシャンプー剤や細菌、真菌が入ることによって毛包炎が起きます。

一般的な症状は、シャンプー・グルーミング後に急速に発症します(48時間以内)。背中から腰にかけての発生が多い様です。皮膚には、赤み、ブツブツ、腫れなどが見られます。症状がひどいと痛みを伴います。

とくに、毛の硬い短毛種でよく見られますが、長毛種でも発生することがあります。どの動物をシャンプーするときでも、なるべく、毛の流れに逆らった処置は控えましょう。また、皮膚病になりやすい動物は皮膚や毛穴が、もともと弱い場合があります。とくに注意して下さい。

治療には、抗生剤や痛み止めが必要な場合が多いです。なるべく早く、受診して下さい。