No.359 歯肉炎と歯周病と歯槽膿漏

歯肉に限局した炎症を歯肉炎と呼び、歯根膜や歯槽骨まで炎症が拡大した状態を歯周炎と呼びます。一般的に歯肉炎と歯周炎のことを歯周病と呼びます。また、歯周病の進んでしまった状態を歯槽膿漏と呼んでいますが、歯周炎のことを歯槽膿漏と呼ぶこともあります。

歯肉炎の早期のものでは、歯の根本の歯肉が歯に沿って線状に赤くなっているだけですが(下記の写真)、状態が進むと歯を支える組織がもろくなって、歯と歯の周囲の歯肉の間のポケットに隙間ができて歯はグラグラになります。この状態が歯周炎です。口の中には細菌が住み着いていて悪い細菌の繁殖を抑えていますが、炎症が起きて粘膜が損傷されると、口腔中の細菌も粘膜から侵入してさらに激しい炎症を起こすようになります。

歯周病の原因の1つとして歯石があります。歯石は細菌の塊です。歯石をとったり歯を抜くことによって治療できる場合もあります。しかし、多くは口の中の免疫、抵抗力の減退が主な原因になっています。ネコ免疫不全ウイルス(FIV)やネコ白血病ウイルス(FeLV)などのウイルス感染で免疫力が低下している場合が多くみられますが、ウイルスは陰性でも、原因不明のまま免疫力が低下している場合もあります。

治療法は口腔内を清潔に保つこと、細菌と炎症のコントロールです。慢性化したものではかなり治療が難しい場合があります。早期に発見し早目の対処が大事です。

歯肉炎

こちらもご参照下さい
No356猫の口内炎
No218口腔鼻腔瘻
No98歯周病2
No97歯周病1
No18歯石