No.281 ウサギの盲腸

ウサギの盲腸は壁の薄いコイル状の器官で右の腹腔を占め、胃の約10倍の大きさがあります。働きはビタミンB群・ビタミンKの合成や、血中尿素を利用した微生物発酵(嫌気的発酵)によってアミノ酸を合成し、VFA(揮発性脂肪酸)の合成・吸収も行います。エネルギー産生、腸内細菌叢の維持、水や電解質の吸収促進などにとても重要な臓器です。

ウサギはドロッとしたゼラチン状の膜に覆われたブドウの房状の盲腸便を1日に数回出して、1日に1~2回それを食べます(硬い便も食べます)。正確に言えば飲み込んでいます。盲腸便は胃体部で6~8時間かけて発酵し、乳酸(エネルギー)が生成され、ゼラチン状の膜が取れ小腸で吸収されます。このゼラチン状の膜は盲腸便を胃酸から守り消化・発酵を助けています。

肥満や高齢、病気などで、ウサギが食糞をできなくなった場合は体重が減少します。40日間の研究では、食事のカロリーを60%に減らしたくらいになると言われています。まだまだウサギの盲腸の研究はこれからたくさんの知見が出てくるでしょう。炎症が酷いと切られてしまうこともあるヒトの盲腸とは大きく違います。


ウサギの盲腸便