No.174 猫の血液型と輸血

たくさんの血液型のある犬と違い、現在確認されている猫の血液型はA型、B型、AB型の3種類です。血液型を決定しているのは、両親から1本ずつ受け継ぐ血液遺伝子の組み合わせです。
A型の猫:A型遺伝子+A型遺伝子、A型遺伝子+B型遺伝子、A型遺伝子+AB型遺伝子の3パターン
AB型の猫:B型遺伝子+AB型遺伝子、AB型遺伝子+AB型遺伝子の2パターン
B型の猫:B型遺伝子+B型遺伝子の1パターン
基本はこの3パターンですが、A型遺伝子+AB型遺伝子でAB型というパターンも報告されています。また、A型の猫が多く(日本の猫では80-90%)、B型は稀で、AB型は非常に少ないとされています。

猫は血液型が犬と比べるとシンプルなため、輸血時には簡易キットで調べられますが、交差試験(クロスマッチ試験)も必ず行います。しかし、犬と同様に大規模な血液バンクはありませんので、輸血に十分な血液が手に入り辛いのが現状です。また、B型の血液をA型の猫に輸血するよりも、A型の血液をB型の猫に輸血する方が凝集が起こりにくいともいわれています。

どうしても、合う血液が手に入らない場合は、1回目の輸血においては、大きな問題が発生することは比較的少ないので、仕方なく違う型の血液を使うことがあります。しかし、この場合も交差試験でなるべく凝集が少ないものを使います。また、本当に緊急の場合は、異なる動物種間で輸血を行う、異種間輸血(Xenotransfusion)が行われる場合もあります。通常は避けられますが、輸血以外に手がないにもかかわらず、すぐに同種の血液が手に入らないときなどに窮余の一策として行われることがありますが、輸血後4日目くらいから徐々に抗体ができて赤血球が壊れ始めますので、相当な緊急事態以外では行いません。

最後に、よく質問を受けますが、犬でも猫でも血液型と性格は無関係です。性格は、両親のDNAはもちろんですが、母親や兄弟、ヒトとの関係などの、生まれた後の社会的な状況(とくに社会化期)・環境、栄養状態など、先天的・後天的な要素が複雑に絡みあって形成されます。