No.476 逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、様々な原因により、胃酸が逆流して食道に炎症や潰瘍が生じる疾患です。好発犬種として、パグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグなどの短頭種が挙げられますが、どんな犬種にも起こりえます。逆流性食道炎を生じるリスク因子として、短頭種、喉頭麻痺、麻酔後、食道裂孔ヘルニアが挙げられます。

短頭種(パグ、フレンチブルドッグ、ブルドックなどの鼻の短い犬種)
呼吸器疾患を持つ短頭種には消化器症状を呈する犬が著しく多いことが示されています。短頭種が生じやすい消化管疾患として、食道炎、逆流性食道炎、胃炎、胃粘膜過形成、食道裂孔ヘルニアが挙げられます。

喉頭麻痺
喉頭麻痺を発症した多くの犬は逆流性食道炎を発症します。重度な場合は全身性の神経障害を発症することもあります。

全身麻酔後
全身麻酔を実施した後の犬の16%に逆流性食道炎が生じるといわれています。特に高齢の犬で発症することが多いです。

主な臨床症状としては以下の様なものがあります。
・吐出
・嘔吐
・間欠的な食欲不振
・唾液量の亢進
・口臭(食道の著しい炎症と壊死組織による)
・発咳

確定診断は食道の内視鏡検査により行われますが、内視鏡を実施するためには全身麻酔が必要なので、多くの場合は臨床症状に基づいて治療を開始します。内視鏡検査では縞状の潰瘍病変を認めます。また喉頭に潰瘍を起こしている場合は、咳などの呼吸器症状を呈することがあります。

治療は、基礎疾患がある場合はその治療を行います。内科治療により良好に反応してくれることが多いです。内科治療の選択肢として以下の薬剤が挙げられます。

潰瘍部保護剤
炎症や潰瘍部を覆うように保護し治癒を促進します。スクラルファートという懸濁液(シロップ)が使用される事が多いです。

消化管運動促進薬
食道の下の部分に位置する下部食道括約筋の働きを亢進し胃酸の逆流を防ぐ薬です。エリスロマイシン、メトクロプラミド、モサプリドなどがあります。

胃酸分泌抑制剤
胃酸分泌を最小限に抑えることを目的として使用することがあります。ファモチジン、オメプラゾール、ランソプラゾールなどの薬剤を重症度や状況に応じて使います。


短頭種の全身麻酔時は逆流性食道炎に注意です

こちらもご参照下さい
No.117 全身麻酔 (General anesthesia)
No.26 嘔吐と吐出