No.168 タンパク質の「質」

生命活動に重要な多くの働きを持つタンパク質は、その質を評価する方法として「アミノ酸スコア」「生物値」が使われます。アミノ酸スコアは必須アミノ酸のバランスを、生物価は窒素の体内利用率をそれぞれ100を最高とした数字で表しています。

食品に含まれている必須アミノ酸がどれくらい満たされているかでアミノ酸スコアは算出されます。タンパク質を構成する窒素1g あたりに占める各必須アミノ酸のmg 数で表され100に近い数値であるほど理想的です。また、アミノ酸スコアはそれぞれのバランスがとても重要です。

図にあるように、1つの必須アミノ酸を、1つの板にみたてた桶に例えて考えてみましょう。左の桶は、アミノ酸スコア100の場合を記しています。全てのアミノ酸が満たされていることで、桶の高さを作り、桶の中の水(タンパク質)がこぼれないようになっています。この状態のときに、体のなかでは十分なタンパク質が生成されると考えられています。
それに対して、右の桶はリジンが不足することにより、リジンの高さまでしか水(タンパク質)をためることができません。つまり、板の長さが1枚でも短いと(アミノ酸含有量が1つでも少ないと)それだけのタンパク質しか生成できないことを示します。

アミノ酸スコア表
 生物価=体内に留保できるタンパク質量/消化できるタンパク質量です。生物価の高いたんぱく質は動物の体内で利用されやすいことになります。タンパク質要求量が100の場合、生物価100であれば、そのまま100gを与えればよいことになります。しかし、生物価80だと125g、50だと200gが必要です。一般的に動物性タンパク質の生物価は高く、植物性たんぱく質のそれは低い傾向にあります。生物価の低い原材料のペットフードではタンパク質含有量を高くしなければなりません。

主なタンパク質の生物価
 アミノ酸スコアや生物価が高いときは、質の良いタンパク質と考えられ、良質のタンパク質と呼ばれます。良質のタンパク質は消化吸収率が高く、低いものより少ない量で必要量を得ることができます。そのため、排便量が減り、アンモニアの産生量が少なくなり、未消化物を減らして腸内環境の悪化を防ぐなどの利点があります。