No.452 病気のステージとグレード

病気の説明の時に、重さや段階を表す言葉として「ステージ」や「グレード」という話をすることがあります。以下に簡単にご説明します。

ステージ:その病気の現在の進行度、影響度を表します。

腫瘍の場合は、主にTNM分類というのが用いられます。

TMN分類
T:原発腫瘍の大きさ
N:所属リンパ節転移の有無、その個数
M:遠隔転移の有無
これらの組み合わせによりステージ(病期)を判定します。

例として
T:腫瘍のサイズは3cm→T1(腫瘍の種類によりサイズによる数字は異なります)
N:1つの所属リンパ節へ転移している→N1
M:遠隔転移なし→M0
だからT1N1M0

この様な感じで、実際に腫瘍がその体でどれくらい広がっているのかを見て数値に簡略化します。そしてこの簡略化されたデータをステージの分類表に当てはめることで、T1N1M0は、この腫瘍の場合ステージ◯ですというのが決まります。

腫瘍以外では、腎臓病だったり心臓病だったり、腫瘍じゃなくてもこのステージという言葉は使われます。この場合は腫瘍の時と違ってTMN分類ではなく、疾患にもよりますが、血液検査、レントゲン検査、症状などを考慮して作られた分類表がそれぞれ存在します。イメージとしては腫瘍のステージと同じで、その病気がどれほど体の中で進んでいるのかを表しています。

グレード:これから予想される病気の進行度、影響度を表します。

腫瘍のステージ分類の様に体全体を見るのではなく、グレードは顕微鏡で見たときの分類になります。生検(細胞診や組織生検など)をした際に調べることができます。腫瘍でいえば腫瘍細胞と正常な細胞がどれだけかけ離れているかを表したものです。なぜか、獣医界では、膝蓋骨脱臼に対してはグレ-ドという言葉が使われ続けていますが、これは特殊な例です。

簡単にいうと、
ステージはマクロ(肉眼)で判断する病気の分類、現在の病気の程度
グレードはミクロ(顕微鏡)で判断する病気の分類、未来の病気の程度の予想
です。

共通点は、どちらも、1、2、3・・・と数字で分類されますが、体の健康という面においては数字が小さい方が好ましく、大きい方が良くないと言えます。

前述した様に、ステージは現実に起こっている病気の進行度や影響度を表すのに対して、グレードはこれから予想される病気の進行度や影響度を表しています。このためグレードの数字が大きいと将来的にステージの数字も大きくなりやすいです。しかし、タイミングによってはグレードの割りにはステージの数字が小さいということも起こり得ます。逆にステージの数字が大きいのにグレードは小さいということはあまりありません。混乱しやすいですが理解しておくとご自分の動物が病気になった時に役立ちます。

こちらもご参照ください
No.300 慢性腎不全(CKD)のステージ分類
No.296 生検
No.292 TNM分類
No.194 犬の僧房弁閉鎖不全症(Mitral regurgitation:MR)
No.31 膝蓋骨脱臼