No.261 小鳥の開張肢 (ペローシス)

セキセイインコや文鳥などの小鳥のヒナに発症する開張肢(ペローシス)という疾患があります。腱はずれとも呼ばれます。マンガン、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、コリン等の栄養不足や遺伝的疾患とも言われていますが、根本的な原因はまだわかっていません。

ペローシスの症状は、片脚もしくは両脚の大腿骨が内転し、脛足根骨が外転することで生じる開脚です。脚が自然の状態で開脚してしまい姿勢が維持できません。脚に荷重をかけられないため、胸で全体重を支えて雛鳥から成長していくために胸骨の変形や胸郭が浅くなります。胸郭が浅くなることで慢性的な呼吸不全、呼吸速迫が認められるケースもあります。

治療法としては、生後4週齢くらいまでの幼鳥であればテーピング固定を実施します。趾部を自着生伸縮包帯を用いて肩幅に合わせて固定します。このテーピングは慎重に行っても幼鳥の精神的ストレスや関節への負担で、食欲不振や関節の脱臼などが生じる可能性があります。4週齢以上の場合は生活環境を整備してQOLを上げる処置をしていきます。骨切りピンニングといって大腿骨を炭酸レーザーで切断して、ピンニングで大腿骨のねじれを矯正する手術で対応する方法もあります。


ペローシスの文鳥のヒナ


ギブスをして滑らない止まり木を使用します