No.402 誤食をしたかもしれない時

『動物が何かを誤食したかもしれないが、食べたかどうかも、何を食べたかもよくわからない』ということはよくあります。金属や石のような硬いものならレントゲンにはっきり映るのですぐに診断可能ですが、プラスチック、布、紐、ビニール、サランラップなどの柔らかいものは、単純なレントゲン検査でははっきりわかりません。超音波検査も有用ですが、胃の中に食事が残っているとすぐにわからない場合があります。そのような場合に異物を確認する手段としては、

1.内視鏡
2.バリウム撮影
3.危険性の少ないものなら、時間をおいてもう1度レントゲンや超音波検査
の3択になります。

どの方法もそれぞれメリット・デメリットがあり、
1.のメリットは、眼で見るのとほとんど一緒なので異物の状態がよくわかる。異物によってはそのまま摘出できる。胃や十二指腸に病変が合った場合生検ができる。デメリットは全身麻酔が必要。胃と十二指腸までしかわからない。異物が確認できても紐状異物などで腸を括ってしまっている時は摘出できない。
2.のメリットは、麻酔がいらない。腸全体がわかる。デメリットは、流れない異物が有った場合は治療にはならない。バリウムが付かない異物は見逃される可能性がある。
3.のメリットは、麻酔がいらない。デメリットは、はっきりとした結果がわからない場合がある。
などです。

いずれにしても、動物の症状や状態、異物摂取の履歴、食べた可能性のあるものの安全性などを総合的に考慮して、様子をみる、吐かせる、内視鏡で取る、開腹手術で摘出するのどれかの選択となります。経験上、紐状異物のようなものでない限り、十二指腸を通過した異物は便と一緒に出てくることが多いですが100%ではありません。また、内視鏡の処置で、全身麻酔をかけると腸管の筋肉が緩んで異物が流れる場合もあります。このようなときは、治療が計画通りにいかない場合もあり、まさにケースバイケースです。いずれにしても早目の処置が重要です。


胃内異物のレントゲン

こちらもご参照ください
No396ユリ科の野菜の誤食
No350誤食の予防
No269紐状異物
No141消化管内視鏡