No.297 ウーパールーパーの腹水症

ウーパールーパーは両生類の一種で、本来は中南米にあるメキシコ合衆国のソチミル湖やチャルコ湖という場所に住んでいましたが、 およそ150年前にヨーロッパに持ち出され、100年ほど前から医学の研究のために飼育され始めました。アホロートルとかメキシコサラマンダーとも呼ばれます。ウーパールーパーには驚異的な再生能力があり、手足の欠損はもちろん、脳の一部さえも再生可能です。

しかし、難しい疾患もあります。腹水症は体内に液体がたまり、水底から浮かんでこなくなる病気で、放っておくと衰弱して死に至ります。症状は水底にうずくまって、食欲、元気がなくなります。初期はわかりにくいですが、症状が進むにつれて腹部を中心にカラダ全体が異常に膨れ上がっていきます。

腹水の原因としては、細菌、ウィルス感染、心臓や腎臓、肝臓などの内臓疾患、体腔内の腫瘍などが挙げられます。とくに肝疾患、感染症が多いです。治療は、原因疾患の治療と、たまった腹水を抜く処置を行います。一般的には注射器で腹水を吸引しますが、一度に腹水を抜くとショック症状で死に至る場合があるため注意深く行います。

ウーパールーパーに少しずつお腹が膨らむ症状がみられたら、早目に動物病院で診察を受けて下さい。針で腹水を抜く以外にもウーパールーパーを体液に近い両生類用リンゲル液に浸し、浸透圧を利用して腹水を抜く方法をとる場合もあります。治療が難しい病気ですが、診察により原因を特定することができた場合は、完治出来ることもあります。


腹水症のウーパールーパー