No.191 嘔吐の色

犬や猫が嘔吐をしたときに、色を見るのは重要です。問題を突き止める手がかりになります。

透明な嘔吐:透明な嘔吐は胃酸がそのまま出ています。胃酸は消化に重要です。また、胃酸は酸性で酸っぱい臭いがします。犬の胃のpHは、空腹時2以下、2時間後4-6、5時間後6以上といわれています。胃内に食事が残っていてもpHは下がっている時があります。ドライフードは6-14時間で胃からなくなります。透明な嘔吐は、異物や、胃炎による胃の不快感、胃酸分泌過多などの胃のトラブルを考えます。
白い嘔吐:白い嘔吐は唾液が混ざっています。気持ちが悪くて唾液が増えた場合や、口腔内の疾患、食道の疾患などを考えます。胃液に唾液が混ざっても白い嘔吐になります。
黄色い嘔吐:十二指腸液が混ざっています。十二指腸液には胆汁が混ざっていて黄色く見えます。十二指腸液はアルカリ性で胃酸は中和されます。十二指腸の疾患の他、肝臓・胆嚢疾患、膵臓の疾患を考えます。
赤い嘔吐:口腔内、食道、胃などの上部の消化管からの出血を示唆します。歯周病や、上部消化管内の異物、炎症、潰瘍、腫瘍などを考えます。
黒い嘔吐:小腸からの出血、炎症、異物、潰瘍、腫瘍やDIC(→No144 播種性血管内凝固症候群)を考えます。

よく犬や猫は吐くと考えられていますが、本来は吐くのは異常なことです。吐くのを放っておくと、食道炎(→No190食道炎)や膵炎(→No189膵炎)になることがあります。目安は月に1~2回程度の嘔吐で、嘔吐後にケロッとしていれば、様子を見るのも1つの方法だと思いますが、嘔吐後にぐったりしたり、頻回の嘔吐だったり、週に2回も3回も嘔吐したり、嘔吐の回数が増えてくるようであれば、早急にきちんとした検査が必要です。フェレットはおおむね犬や猫の考え方と一緒で良いですが、ウサギやチンチラ、ハムスターなどのげっ歯類の嘔吐は深刻な状態が多いです。