No.135 ウサギの不整咬合 (Malocclusion)

ウサギの歯は解放性の歯根を持つ常生歯といい、月に1センチほど永久に伸び続けます。切歯(前歯)と臼歯(奥歯)2種類の歯があります。歯の働きは、上顎の2本と下顎の2本、そして上顎の前歯2本の裏に生えている2本の合計6本の切歯で牧草を切断し、左右に11本ずつ生えている臼歯で、切断した牧草などを下顎を臼のように動かすことによって細かくすりつぶします。 このような動きがきちんとできなくなると、切歯は唇を、上顎の臼歯は頬の内側を、下顎の臼歯は舌を傷つけます。このように正常な噛み合わせでなくなってしまった状態を不正咬合といいます。

主な原因は、先天性の解剖学的な異常の場合もありますが、多くは後天性で、食事の内容がペレットだけで牧草などを与えないために歯を削ることができなくて生じる食事性、 金属のケージをかじることにより歯が曲がって上下のかみ合わせが悪くなるなどの外傷性、老化や歯根部の感染、若いときのCa不足による歯槽骨の変形なども原因となります。

不整咬合の症状は、食欲不振、流涎が主ですが、とくに臼歯の不整咬合は重度になると顎の変形が起きたり、膿瘍ができたりします。このようになってしまうと完治は困難ですので、早いうちの対処が必要です。確定診断は通常、視診とレントゲン検査で行います。他の食欲不振を症状とする疾患との鑑別や顎の状態の把握のためには血液検査、超音波検査なども必要となる場合があります。

治療は、軽症の場合は内科的な処置で可能な場合もありますが、基本的には外科的に歯を削ることが主となります。切歯は無麻酔で処置が可能ですが、臼歯は全身麻酔が必要です。臼歯の処置を無麻酔でやると、出血による窒息や顎の骨折など、取り返しのつかない事故につながる可能性があります。また、奥の臼歯に関してはきちんとできませんし、皆様も、自分の歯を無麻酔で削られることを考えたら、非常に恐いと思います。

一度不整咬合になると、生涯にわたっての治療が必要です。予防は、切歯については環境の整備、臼歯については、とにかくイネ科の牧草(チモシー)を食べさせることです。日光浴を推奨する報告もあります。