No.431 黄疸 (Jaundice)

黄疸は血中ビリルビン濃度の異常高値です。古くなった赤血球が破壊されるときに生成されるビリルビン(黄色い色素)によって、皮膚や眼球結膜が黄染した状態となります。通常、ビリルビン値が2~3mg/dlを超えると顕性黄疸といって眼に見えてわかるようになります。また、血清ビリルビン値は上昇しているものの、黄染があきらかでない場合を不顕性黄疸といいます。 黄疸の原因疾患は多岐にわります。入院加療や緊急処置が必要となる場合も多いため、診断は迅速かつ正確であることが求められます。

ビリルビンは血液で肝臓に運ばれグルクロン酸抱合され胆汁中に排泄されます。肝臓で抱合される前のビリルビンを『非抱合型(間接型)ビリルビン:Indirect bilirubin;I-bil』、抱合された後のビリルビンを『抱合型(直接型)ビリルビン:Direct bilirubin;D-bil』といい、あわせて『総ビリルビン:Total bilirubin;T-bil』と呼びます。通常、T-bilは血液中にごくわずかしか存在していません。黄疸は以下のように分類されます。

溶血性黄疸:溶血性貧血などで赤血球が過剰に壊されてしまい、肝臓で処理しきれなくなりI-bilが血中にあふれる状態です。過剰生産ではなくても、薬剤、敗血症などにより、I-bilを肝臓に取り込めない場合も起こる場合があります。
肝細胞性黄疸:肝臓にI-bilを取り込めても、肝炎、肝硬変、肝臓癌などで肝臓の細胞に障害があって、I-bilをD-bilに変換できない状態です。
肝内胆汁鬱滞性黄疸:D-bilに変換できても、細胆管が障害されて胆汁に混ぜることができず肝臓内に溜まってしまう状態です。
閉塞性黄疸:D-bilが胆汁に混ざっても、胆管や腸管に排出するルートが閉ざされている状態です。
体質性黄疸(ヒト):I-bilをD-bilに変換する際に必要な酵素が欠乏していている状態です。動物ではよくわかっていません。

黄疸の種類によっても異なりますが、皮膚や眼球結膜の黄染以外の一般的な臨床症状は、嘔吐(63.5%)、食欲不振(62.6%)、嗜眠(55.7%)、発熱(18.3%)です。動物種、品種、年齢、詳細な病歴の聴取や身体所見、症状によりある程度の鑑別が可能ですが、血液検査、画像検査にてさらに鑑別診断を進め、素早く治療を開始することが重要です。また、疾患によっては緊急手術が必要な場合もあります。


黄疸で眼球結膜が黄染したロシアンブルー

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