No.279 犬の角膜血腫

犬の角膜血腫は血腫様血管新生とも呼ばれ、しばしば高齢の犬にみられる疾患です。角膜というのは本来は透明な組織であり、通常は血管は存在しません。しかしながら、何らかの要因により角膜に血管新生が起こります。これが角膜血腫です。はっきりとした病変の割には臨床症状に乏しく、眼の周囲の毛が長い犬の場合は、飼い主さんも気が付いていないことも珍しくありません。

少し古い2011年の研究では、10歳以上の雄に発生が多くみられるという報告がありますが、現在のところまだ原因は解明されてはいません。免疫異常、涙液の異常や、角膜上皮障害などの関与が疑われています。また、チワワやT.プードル、柴犬などの小型犬で多く、中型犬、大型犬ではあまりみられません。

症状は、角膜に突然1~数ヶ所の赤い血の塊が見えて、基本的に痛みはなく、涙液量などの一般眼科検査では明らかな異常はみられません。

治療はステロイドの点眼薬が著効を示すと言われていますが、他の眼の異常がなければ、何もしなくても2~3ヶ月で治癒することが多いです。角膜潰瘍やドライアイがあることもあるので、しっかりとした診断が必要です。

原因の解明がなされていないため、治療薬の評価なども含め、さらなる研究が待たれるところです。


T.プードルの角膜血腫