No.27 猫の毛玉症と猫草

前回に嘔吐の話を書きましたが、猫草を使って毛玉を吐かせる。ということを聞いたことがある方は多いでしょう。猫草は一般には燕麦やエノコログサなどのイネ科の植物です。ペットショップなどでも普通に購入できます。

たしかに、猫は猫草で毛玉を吐いてスッキリ。という顔をすることもありますが、月に2、3回ぐらいならともかく、頻繁に与えすぎると、様々な問題が起きます。

まずは、吐くことを続けていると食道炎が起こります。胃酸は強い酸性液です。食道は胃酸に耐えられません。食道炎が重症になると、食道が狭くなってしまったり、拡張したりして、非常に治療が難しい状態になってしまいます。

また、年配の猫や、病気で弱っている猫の場合は、吐ききれないで肺に吐物が入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こしてしまう場合があります。

もう一つ、最近、よく言われるようになったのは膵炎です。吐くときは胃の中と十二指腸の中の圧力が上がります。十二指腸には膵臓から膵液が膵管を通って出てきます。十二指腸の内圧が上がると、膵液が膵管内を逆流し膵臓にダメージを与えます。猫は膵管の出口と肝臓から胆汁を運んでくる胆管の出口が非常に近いので、膵炎が重症化すると、胆管にもダメージが出て胆汁が流れなくなり閉塞性の黄疸が起こります。

以上のような理由から、猫草はなるべく使わず、ブラッシングをよくして毛を体内に入れないこと、ラキサトーンのようなもので入ってしまった毛を流してあげることが、猫の毛玉症の予防となります。ブラッシングの嫌いな長毛種の猫の場合は、定期的に毛を短くカットすることもお勧めです。また、ラキサトーンはウサギにもお勧めです。ウサギの毛玉症(正しくは食滞)は、パパイヤやパイナップル製品で予防することは困難です。