No.266 ウサギの斜頸

首をかしげているように頭が斜めに傾いている状態を斜頸と言います(正確には捻転斜頸)。主に脳か耳の疾患が原因です。首が左右どちらかに傾いていてまっすぐに戻らない、眼振(眼球が揺れ動く、脳の場合は縦揺れ、耳の場合は横揺れが多いです)、まっすぐ歩くことができず同じ方向にグルグルと歩き続ける、立てなくなり横に倒れてグルグル回り続ける(ローリング)などの症状が出ます。

脳の場合は、主にエンセファリトゾーン(微胞子虫)という寄生虫により、中枢神経系に異常をきたし発症します。耳の原因はスナッフルの原因菌であるパスツレラや歯牙疾患からなどの細菌感染により、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官(前庭)に異常が起こり発症します。

診断は諸症状と身体一般検査の他、神経学的検査、レントゲン検査やCT検査によって鼓室や前庭の状態をみます。また、血液検査でエンセファリトゾーンの抗体値を調べることもあります。

治療は、抗生剤、ステロイド、エンセファリトゾーン症の場合には駆虫薬も使用します。食欲が出るまでは点滴や強制給仕も行います。斜頸は再発も多く、終生治療が必要になることもあります。完全に元通りになる場合もありますが、症状が軽くなっても首は傾いたままの状態で固定されたり、後遺症が残るケースもあります。


捻転斜頸でたちあがれないウサギ