No.130 犬や猫が吐くとき2(Reverse)

今回は「吐く」という症状の中、最も一般的な嘔吐において、こんな場合は要注意というお話です。前回書いたように、嘔吐と言っても原因はなかなか複雑です。以下のようなときは、早目の来院をおすすめします。

何回も繰り返す
月1~2回ぐらいの嘔吐で、その後ケロッとして元気であれば様子をみてもよいですが、週に2~3回以上吐くようならきちんとした検査が必要です。
腹痛がある
苦しそうに背中を丸めていたり、腹部の緊張が強い場合は腹痛の可能性があります。腹痛を伴う嘔吐は危険な兆候です。胃腸炎の他、各種の結石・尿閉などの泌尿器疾患も考えられます。
呼吸が悪い
嘔吐と共に短く浅い呼吸をしている時は、急性腹症(急激な腹痛によって緊急手術の適応か否かの判断が要求される症候。消化管穿孔、胃捻転、腸捻転、胆嚢破裂、腹膜炎、急性膵炎など)の可能性があります。すぐに病院へ。
吐いたものに異物がある
おもちゃの破片や植物など、食事以外の異物が混入している場合。
赤や黒っぽいものを吐く
少量の血が混じっていたり、重い潰瘍や腫瘍では、出血で嘔吐物がコーヒー色になっていることがあります。潰瘍や腫瘍、感染症などを疑います。
黄色っぽいものを吐く
よく誤解されていますが、黄色ものは胃液ではありません。肝臓から十二指腸へ分泌されている消化液の胆汁です。胃よりも深いところの問題を示唆します。肝胆道系疾患、膵疾患を疑います。
異臭がする
血の臭い(潰瘍・腫瘍)や便の臭い(腸閉塞)、酸っぱい臭い(膵炎)など、異臭にも注意が必要です。
他の症状がある
上記の腹痛や呼吸が悪いこと以外にも、下痢や発熱、食欲不振など、嘔吐以外にも症状を伴う場合は緊急性が高い場合があります。

また、フェレットでは犬や猫と同じように考えてもおおむね間違いはありませんが、ウサギやチンチラは食道の筋肉の構造上、吐くことが難しいので、吐いているときはかなり悪い状態です。すぐに適切な対処が必要です。

以下もご覧下さい

No.26 嘔吐と吐出
No.27 猫の毛玉症と猫草