No.216 紫外線(Ultraviolet rays)

近年、紫外線の害が数多く報告されています。紫外線によって生じるシミ、シワ、たるみは光老化と呼び、ヒトの肌老化の3大特長といわれています。白内障にも紫外線が影響しています。また、老化の原因の1つの活性酸素も生成するともいわれています。紫外線には波長によって以下の3種類があります。

UVA:地表に届く紫外線の95%を占めます。波長が長く、雲や窓も透過します。主に真皮に作用し、ハリや弾力を生むコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す繊維芽細胞に損傷を与えます。その結果、UVAを浴びた肌は弾力を失い、シワやたるみといった肌の老化現象を引き起こすと考えられています。UV-Bほど有害ではありませんが、長時間浴びた場合の健康影響が懸念されています。日焼けサロンはこのUVAを照射しています。
UVB:地表に届く紫外線の5%を占めます。ほとんどは大気層(オゾンなど)で吸収されてしまいますが、一部は地表へ到達し、皮膚や眼に有害です。海や山で多くなります。波長が短く主に肌の表面の表皮とメラノサイトに作用しUVAより強いエネルギーを持ちます。UVBはさらに、メラニン色素の合成を増やし、シミが目立つ原因をつくります。日焼けを起こしたり、皮膚がんの原因となることもあります。
UVC:大気層(オゾンなど)で吸収され、地表には到達しません。

では、動物ではどうなのでしょうか、ヒトには見えない紫外線が犬には見えているという説もあります。現在では、ヒトと同様に犬や猫も紫外線の影響を受けると考えられています。とくにお散歩に行く犬、短毛種、薄い毛色のワンちゃん、サマーカットをした場合などは紫外線の影響を受けやすく注意が必要です。

散歩時の紫外線対策としては、紫外線の強い時間帯の散歩をさける、なるべく日陰を利用する、UVカットの服、UVブラッシュアップミストなどがあります。動物にも紫外線ケアの時代が来ました。

もちろん、紫外線にもメリットがあって、過度に紫外線を浴びることは皮膚のトラブルの原因となりますが、紫外線には殺菌効果があるので、皮膚の殺菌やカビや菌の予防にも効果があります。また、紫外線にあたることで、カルシウムやリンの吸収を助けるビタミンDを皮膚で合成したり、セロトニンというホルモンを分泌するといわれてます。セロトニンには精神を落ち着かせたり幸福感を高める作用があります。心身の安定のためにとても大切なホルモンです。犬や猫が日向ぼっこをしてお昼寝している姿はとても気持ちよさそうですよね。

環境省のホームページもご覧ください(ヒト向けです)
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/full.pdf

アメリカで25年間トラックの運転手をやっていた方(69歳)
左側から強く紫外線を浴びていたため、このような左右差が生じた