No.211 小鳥の排泄物

セキセイインコ、コザクラインコ、オカメインコ、文鳥やキンカチョウなどの小鳥の排泄物は健康状態を示唆しています。小鳥は排泄孔が肛門と尿道口に分かれておらず、一つの排泄孔より糞便と尿が同時に排泄され、排泄物は便(主に緑褐色)、尿(透明)、尿酸(白色)で構成されます。正常な便の色は小鳥の種類や食事によって異なりますが、今回は異常な便についてご紹介します。

緑色便
絶食便:小鳥が絶食状態になると、濃緑食の胆汁と腸粘膜の排泄が行われ、見た目には濃緑色、少量、下痢状の便が排泄されます。これを「絶食便」と呼びます。
溶血便:重度の溶血が起こると、破壊された赤血球から血色素(ヘモグロビン)が溶出し、大量のビリベルジン(緑色)が生成され、排泄量も増加し便が濃緑色になります。また、便中のビリベルジンが尿中にも溶け出し、尿も濃緑色になります。溶血の原因が鉛などの重金属中毒の場合、便は光沢を帯びた青緑色(ビリジアン色)となります。
着色便(緑色):緑色のペレットやサプリメントなど着色料の付いた食事を食べると便が緑色になります。
高脂肪食便:ヒマワリなど脂肪種子を常時与えていると、胆汁が多く分泌され緑色便となります。

白色便
消化不良によりデンプンや脂肪が便に多く排泄されると、便は白くなります。

黒色便
タール便:胃などの上部消化管からの出血、気道の出血や外傷などから大量の血液を飲んだ場合、血色素が胃酸によって塩酸へマチンと酸化されて黒くなります。
着色便(黒色):炭や鉄剤などの投与、黒色系の食餌から黒色となります。

赤色便
血便:赤色付着物がある場合、血液が混じっている血便である可能性があります。排泄孔、排泄腔、下部消化器(下部小腸、直腸、結腸)、生殖器、腎臓のいずれからの出血により血便が起きます。
着色便(赤色):便がまんべんなく赤色で形が正常な場合、ニンジンや赤色ペレットなどの食べ物由来で便が赤くなっている状態が考えられます。

グリット便
グリットとは筋胃内に停留する砂のことで、多くの場合ボレー粉や塩土などの鉱物飼料です。グリットが便に出てくるということは、鉱物飼料を食べ過ぎているか、蠕動亢進により筋胃内より流出していることを示しています。グリットが筋胃内に過剰に停留すると吐き気が出ることがあります。

完穀便、全粒便
完穀便、全粒便とは、穀粒がすり潰されず、不完全な状態で便に混入した状態です。鳥類は歯を持たないため食物を丸呑みします。よって穀類のような硬い食物を摂取する鳥種では筋肉が発達した筋胃を持っており、この中で前述のグリットと共に穀物をすり潰しています。完穀便、全粒便が出るということは、この筋胃に障害があることを示しており、カンジダ、メガバクテリア、寄生虫等の感染、胃炎や胃がん、胃の蠕動運動異常などが考えられます。

大型便
便の大きさが通常より大きい場合、発情中の雌鳥であれば正常です。雌鳥は繁殖行動中は巣箱の中にこもることが多いため、総排泄腔の糞洞が拡張し、便を貯めてから排泄するようになります。この状態はエストロジェン分泌性の精巣腫瘍でもみられ、この場合雄でも大型便をするようになります。
また脊髄の障害や腹腔内のマス、腹壁ヘルニアによる排便障害時も大型便になることがあります。この場合、大量の便の貯留によって総排泄腔が拡張します(メガクロアカ)。自力で出せない場合には、ヒトが指で補助して排便をさせる必要があります。

尿酸の黄色化
尿酸の黄色化がみられた場合は、肝炎または脂肪肝などによる肝細胞障害が考えられます。診断にはレントゲン検査、超音波検査、血液検査などが必要です。

尿酸の赤色~オレンジ色化
尿酸が赤色~オレンジ色化している場合は、心疾患を患う鳥の心拍数が亢進し溶血が起こった場合や過度に動いたことによる筋肉の損傷、重金属中毒による溶血などが考えられます。

赤色尿
水分尿が赤色をしている場合は、重篤な溶血により血色素が尿中に出てきていることを示唆します。重金属中毒でみられることがあります。

異常な臭い
正常な鳥の便はほとんど臭うことはありません。もし異臭がするようであれば、腸内細菌叢の異常や排便障害等により総排泄腔内に排泄物が長時間留まっていることを示唆しています。雌の発情時は臭いが出ることもあります。これは、前述のように、発常時の雌は便を貯めて排泄するため、総排泄腔内に留まっている時間が長いことが原因となっています。異臭がある糞便からは、クロストリジウムという細菌が検出されることが多く、この菌は鳥には無害でも、人の食中毒の原因になることがあるので注意が必要です。

上記のような異常な排泄物が見られたら、適切な診断と治療が必要です。小鳥は一日で状態がすぐに悪化することが多いです。早目にご来院下さい。

以下もご参照ください
No91小鳥の基本
No127小鳥の腹囲膨大