No.395 犬の低血糖

低血糖とは、血液中のブドウ糖の量を表す血糖値が極度に低下した状態のことです。低血糖になると、ぐったりしたり元気がなくなるといった活動性が下がる症状が現れます。散歩に連れ出そうとしてもあまり喜ばなくなります。さらに重度になると、後肢の麻痺や痙攣発作、嘔吐、失禁、震え、下痢などが起こる場合もあります。脈拍が早くなったり体温が低くなることもあります。

低血糖の原因は犬の年齢や犬種によっても異なります。また年齢に関係なく、キシリトールを摂取することで低血糖になることがあります。キシリトールは低カロリーの甘味料です。ヒトの糖尿病患者さんなどに利用されますが、犬には危険なので与えないようにしてください。

子犬の場合
生後3-4ヶ月程度の子犬が低血糖になる例がたびたび見られます。特にチワワやトイプードルなど小型犬の子犬に多いです。子犬は肝臓の糖を貯蔵する機能が不十分であることが原因です。空腹や体の冷えなどによって生じやすいので、食事を小分けにして与えたり、室温に注意するなどの方法で予防します。まれに重度の感染症、先天性の肝臓の病気が原因となる場合もあります。

成犬の場合
成犬の低血糖症はゴールデンレトリバーや5歳以上の中~大型犬に多く見られます。原因は、副腎皮質機能低下症によるホルモンバランスの崩れ、肝臓または膵臓の腫瘍などです。具体的な原因を突き止めることが重要です。

老犬の場合
老犬でも、低血糖の症状が現れることがしばしば見られます。元気がない、散歩の時に腰がふらつくなどを老化現象だと判断してしまいがちですが、低血糖症の可能性もあります。成犬の場合と同様にインスリノーマなどの膵臓の腫瘍や副腎の異常を考えます。

疾患を持っている場合
糖尿病の治療中でインスリン投与を行っている場合は、過剰なインスリンによって低血糖症になることがあります。その場合、インスリンの量が適切ではないのでインスリンの量を検討します。

応急処置
低血糖の発作が起きた場合、そのままにしておくと死亡する可能性もあります。直ちに応急処置が必要です。応急処置はガムシロップ、砂糖水、ブドウ糖といった糖分を与えることです。砂糖水の作り方は砂糖と水の割合を1:4で混ぜるだけです。無理に飲ませようとすると、気管に入るかもしれないので、注意しながら少量ずつ与えます。けいれん発作が起きているときは、歯茎にこすりつけるようにしてください。症状が落ち着いたらなるべく早く動物病院へお連れください。