No.154 超音波検査(Ultrasound)

超音波とは音の一種であり、通常ヒトが耳で聞こえる音(可聴音)より高い周波数の音をいいます。音の高さは周波数で表され、周波数Hz(ヘルツ)でその高さが決まります。周波数とは、1秒間に何回振幅するかということを表していて、1秒間に1000回振幅する音は1000Hzです。ヒトが耳で聞こえる音(可聴音)の周波数は20Hz~20キロkHz(キロヘルツ)で、超音波の周波数はそれよりずっと高い1~30MHz(メガヘルツ)です。

超音波検査(エコー検査)は、この超音波を利用した画像検査法の一つで、超音波を対象物に当てその反射を映像化することで対象物の内部の状態を調査することができます。非常に強い超音波は物質を破壊したり大きな熱を発生したりしますが、診断に用いる強さの超音波では生体に害がないとされています。

超音波検査のメリットは、基本的に麻酔や鎮静が必要でなく、動物に対しての侵襲が少ないこと。検査に本体装置以外の特別な器具が必要がないこと。対象物がリアルタイムに多方向から観察できること。軟部組織の解析能が非常に優れていることなどが挙げられます。

一方デメリットは、装置が高額なこと。骨や神経の診断に向かないこと。視野が狭いこと。術者の経験が必要なことでしょうか。

超音波検査は動物でも主に心臓と腹部の検査に重要です。 心臓の検査では、レントゲンでは心臓の形や大きさの違いくらいしか分からなかったものが、超音波では心臓の断面積・容積の変化など、内部の様子がよく観察できるようになります。 また、腹部の検査では、肝臓、腎臓、副腎、膀胱、尿管、膵臓、卵巣、子宮、胃腸、腹腔内のリンパ節や脂肪の状態の観察に使われます。その他にもレントゲンでは判断しにくい各臓器の内部構造(腫瘍、炎症など)や早期の妊婦胎児診断(胎児の生存の有無)などに使われます。