No.375 乳歯遺残

ヒトと同様、犬や猫も子犬、子猫の時期に乳歯から永久歯へと生え変わります。この時、本来であれば抜け落ちるはずの乳歯が、生え変わりの期間(約6-7カ月齢)を過ぎても抜け落ちずにそのまま残ってしまい、新たに生えてきた永久歯と併存してしまうことがあります。これを乳歯遺残といいます。

チワワやトイプードル、ポメラニアンなどの人気の小型犬種に多くみられます。猫でも起こります。犬歯が最も多くみられますが、切歯や臼歯にも起こります。乳歯遺残は、永久歯の生え方に影響する上、歯垢・歯石がつきやすく歯周病のリスクも高まるなど、長期的な歯の健康に関わります。

歯が生え変わる準備として、破骨細胞(はこつさいぼう)が乳歯の根元(歯根部)を溶かすことで乳歯が抜けやすくなるよう、かつ永久歯が生えてきやすいようにしているのですが、乳歯の根元がうまく吸収されない、永久歯が萌出する場所が正しくないなど、このプロセスに何らかの支障が出ると乳歯が抜けきれずに居残ってしまいます。7か月齢以上で乳歯が抜けていない場合、ほとんどの場合、乳歯遺残となり、そのままでは抜けません。抜歯には全身麻酔が必要なので、去勢手術や不妊手術時に抜歯をするのが推奨されます。


細い犬歯が乳歯遺残です