No.76 犬の嗜好性

嗜好性とは、その食事を好んで食べるかどうかの指標です。『嗜好性が高い』は多くの個体が好んで食べるという意味です。

犬の食事の嗜好性についての研究もいろいろと報告されています。犬は

匂い>食感>味>見た目

の順で食事を吟味しているそうです。誤食をしてしまう犬が、ヒトから見れば信じられないものを食べてしまうのもうなずけます。当院では、果物の種やおもちゃに始まり、電池、女性の下着、避妊具なども内視鏡で取り出したことがあります。

お肉の種類では、

牛肉>豚肉>ラム肉>鶏肉>馬肉

の順で好むそうです。でも、ほとんどの犬は牛肉でも馬肉でも喜んで食べていますよね。どのように実験したか興味があります。

また、生肉よりも調理した肉を好みます。

缶詰肉>その場で調理した肉>生肉

という報告もありますが、個人的にこれは、ペットフード会社絡みの研究のように思えます。

嗜好性の学習については、生後6ヶ月までに、特定の食品しか食べたことのない子犬は、食べ物に対する嗜好性が固定されてしまい、好き嫌いが激しくなるという報告と、離乳後16週間、同じ缶詰で育てた子犬は、その後は、慣れた食べ物よりも目新しい食べ物を好むといった逆の報告もあり、まだまだ、定まった学説はありません。個人的には、若いうちに様々な食品や舌触りを経験した犬は、目新しい食品でも用意に食べてくれるようになると思います。一昔前は、同じドッグフードで長く与えたほうが良いという考え方が、獣医師の間にもありましたが、経済的なメリット・デメリットはありますが、やはり、栄養面などからも、多くの食材に触れたほうが良さそうに思います。